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60.おねだり2
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翌日の昼食。
水野谷は氏家と高田を連れ立って近所の蕎麦屋に外出していた。
残された職員は事務室で昼食を済ませ、コーヒーを飲んでいた。
彼女でもいるのか?
三浦はさっさと外に電話をしに行ってしまっている。
ワンセグのテレビを見ている吉田を他所に蒼はため息を吐いた。
ここ数日感じている憂鬱のせい。
ぼけっとしていた星野は笑う。
「今度はなんだよ~。本当にお前は単純だな。ため息があるときは悩みがあるんだろう?」
星野の目の前でデザートのプリンを食べている尾形も苦笑する。
「本当だ。蒼は悩んでいるのがすぐ顔に出るね」
「え!そうですか?そんなつもりはなかったんですけど……」
「で。今度はどんな悩みなのだ?優しい星野先輩が聞いてやるから」
彼の悩みを聞くのは通例儀式みたいなものだ。
半分は冗談っぽく言ったつもりだったが、蒼は至って真剣らしい。
顔を赤くして俯いた。
「おいおい。顔を赤くするような話なのか?」
面白そうだと吉田も携帯を切って蒼を見る。
「あ、あの」
もじもじしてしまう。
「はっきり言えよ~。おれたちの仲だろう?」
尾形も促す。
蒼はしょんぼりして小さな声でごにょごにょと話し始める。
「あの、えっと。その。あの、ご無沙汰なんです」
「へ?」
吉田は笑う。
「ご無沙汰って?」
星野は理解したのか、爆笑した。
「ご無沙汰って!エッチのこと?」
「わ~!わ~!そんなにはっきり大きな声で言わないでくださいよ~!」
蒼は泣きそうだ。
三人は顔を合わせて笑う。
「そんなことで悩んでいたのか?」
「蒼も隅に置けないね」
「だ、だって!結構重要なことじゃないですか……?」
最初は自分のほうがエッチ嫌いだったのに。
ご無沙汰だからって逆に悩みになってしまうなんて思ってもみなかった。
恥ずかしくて穴があったら入りたい。
「そう恥ずかしがることはねーだろ?男だったら大切なことだ。それはそうだ」
星野はうんうんと頷く。
「でもなんでご無沙汰なんだろうね?」
吉田の声にまごまごする。
「忙しいのもあるんだと思うんですけど。もしかしたら。飽きちゃったのかなって」
「飽きるって!熟年主婦じゃないんだからさ!」
尾形は笑う。
そんなに笑わないでとばかりに蒼は顔を赤くした。
「マンネリなんじゃねーのか?」
「ま、マンネリ?」
「そうそう」
星野は意地悪に笑う。
「いっつも同じシチュエーションじゃ、刺激がないってことだよ」
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