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76.男の意地7
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翌日。
星野はすっかり元に戻っていた。
「おっす~!おはよう!!」
あからさまな豹変に、事務室は止まった。
「なんだ、なんだ?朝から元気ないじゃないの。今日、一日乗り切れないよ?」
尾形の背中をばしばし叩く。
叩かれた本人は目が点だ。
サンダルをパタパタさせながら、だらしない格好で喫煙所に出て行く彼。
それを見送って、初めに声を上げたのは水野谷だった。
「どうした?あいつ」
氏家も首を傾げる。
「元に戻った」
「恋人に振られたんじゃないっすか?破局してヤケになったとか……」
三浦の言葉に、一同は頷く。
「そうに違いない」
「人間、恋している間は身だしなみに気を使うもんだが」
「それをやめたと言うことは破局だな」
うんうんと納得している職員。
コーヒーを飲んでいた蒼は苦笑する。
その逆なのだが。
昨晩。
油井からメールが来た。
星野が元に戻ってくれたと。
謝られたらしい。
油井にも迷惑をかけたと。
油井は油井で、そのままの星野が好きだと言ったそうだ。
手のかかるカップルである。
こういう場合、蒼は自分のことは棚にあげる傾向がある。
自分の働きで関係が修復できたのかと思うと、お節介な家政夫蒼には嬉しいことだった。
「いいか。あの年での破局はダメージが大きいものだ。みんな、その内容には触れないようにしてやれ」
水野谷の言葉に吹き出す。
しかし、事情を知らない職員は神妙な顔をし、大きく頷いた。
しばらくは勘違いされて、腫れ物に触れるように扱われるのだろう。
なんだか気の毒な星野だが、これも自業自得と言うところか。
誤解が解ける日はまだまだ先のようである。
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