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98.剔抉7
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「いいんですか?社長。悪者みたいになっちゃって」
岩見は、緊張感のほぐれた車内でため息を吐く。
「仕方ないじゃない。汚い手を使ったって、傍に置いておきたいと思うんだから」
「でも、つい先日までは存在すら知らなかった子供に愛情がわくものですかね?」
「わかってないね。岩見くんは……」
愛おしすぎて。
連れ添えなかったからこそ、余計に思いが募って。
ずっと追い求めてきた。
彼女の影を。
結婚しても、それは変わらなかった。
男っていう生き物は、案外、気持ちの整理がつかないものだ。
彼女はどう思っているのかわからないが。
自分は。
いつまでも若かりし頃の切ない思いに胸を焦がしていた。
その、愛おしい人と自分の間に生まれた子だ。
知った瞬間、傍に置きたいという思いが抑えられない。
「どんな手を使ったって、おれはあの子を手に入れるよ」
羽根田は書類を脇に置き、外を流れていく田舎の光景に視線を移した。
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