アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
108.会いたい7
-
とんだ夜になってしまった。
結局。
彼の部屋で一晩を過ごしてしまったのだ。
別に。
なにがあったわけではない。
キスはしたが。
泣いている蒼をセバスティアンは優しく慰めてくれた。
子どもだと思っていた相手に慰められてしまうなんて。
なんだか恥ずかしすぎる。
シャワーを浴びて、顔を出すと、彼は眠そうにソファに座っていた。
『昨晩はごめんね。迷惑かけたね』
蒼の笑顔を見て、彼も微笑む。
『ううん。なんだか、蒼がどうして元気がないのか疑問に思っていたんだけど、それが少し分かってよかった』
『セバスティアン……』
そんなに自分のことを心配してくれていたか。
知らなかった。
ただのわがままな子供だと思っていたのに。
蒼は彼の側に行き、そっと抱きしめる。
蒼からそんなことをされたことがないセバスティアンはびっくりして目を瞬かせた。
身体を離し、蒼は顔を赤くしている。
『別に。変な意味じゃないからね!昨日のお礼なんだから。いい?おれは大人でセバスティアンは子供。恋愛とかまだ早いんだから』
『ひどい、そういう区分けはおかしいと思うけど?』
蒼は苦笑して、そのまま方向を変える。
『おれ、行かないと。遅くなると奥川に怒られるから』
『それは怖い』
釣られて苦笑するセバスティアンに背中を向け、蒼は部屋を出た。
それを見送って彼は視線を伏せる。
『そういう考え方じゃない癖に』
あんなに悲しい涙ってあるのだろうか?
知らなかった。
蒼は本当に恋人のことで苦しんでいる。
自分にはその事情は分からない。
だからこそ。
蒼が悪いとも思えないのだ。
きっと相手が悪いにきまっている。
あんなに悲しい思いをさせるなんて、ひどい。
自分だったらそんなことはしない。
『けい?』
確か。
そう言っていた。
圭って名前か?
セバスティアンは席を立ち、マネージャーに連絡を入れた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
826 / 869