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111.父と息子5
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「それはそうですけど」
こういう時の章はビジネスの顔だ。
「我々が思い描く子供の人生がいいのか?悪いのか?それは誰もわからない」
自分の物差しに当てはめてはいけないよ。
そういう意味か。
蒼は頷く。
「はい。すみません」
「いや。蒼の気持ちもわかる。大人が利用しているように見えるからね。だけど、どうだろう?彼サイドからしても、こっちは利用されてないかい?」
奥川が口をはさむ。
「セバスティアンは無名の音楽家です。今回、ゼスプリ優勝しか実績がありません。その彼につく企業はヨーロッパには皆無です」
ゼスプリ優勝しか。
確かに。
圭も同じ。
彼もそう。
年齢もいっていたおかげで、彼はあれ以降プロに転向した。
そのおかげで、彼の実績もそれだけで止まっていることになっているのだ。
地道に活動していても、本場では通用しないことだってある。
圭の活動は少しずつ広がっているけど、世界的に有名な圭一郎のようにはならない。
「お互い、メリットを考えて取引しよう。ね?」
章の言い分はもっともだ。
蒼は頷いた。
「さて。お弁当を食べて。午後はいろいろ聞かせてもらいたいことが山ほどあるよ」
奥川は表情を引き締めた。
だけど、蒼はなんだか圭のことを考え始めたらそのことで頭がいっぱいになってきていた。
なんとなく上の空になっていた。
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