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(可能性二つ目。…考えたくもないけれど、こいつはオレが好きで、猛攻を仕掛けてきた。一つ屋根の下、押し倒してヤリまくって既成事実を作ればオレを独占できるから。)
しかし、嶋としてはどちらも納得のいかない真相だった。
(ざっと考えて…。一つ目は、大仰過ぎる。夏休みなんて出かけなきゃ早々クラスメートに目撃なんてされないし、実際二人で一緒に住むよりか夏休み限定の引きこもりをそれぞれして、後は身近な人間と口裏合わせりゃ済むだけの話だろう。…どちらも同様に面倒だが。)
嶋は、じっくりと考え込む。
(二つ目は、欠陥が多すぎる。男同士とは言え、このご時世に高校二年の同級生とっ捕まえて同居に持ち込むなんて無理があり過ぎる。しかも条件が、『一回でもその手の誘いをしたら』ではなく『妊娠したら』だぞ‼?負けを見込んでいるとしか思えん。ってか、一つ屋根の下にいればどうにかなるだろうって、考え方が雑‼恋愛遍歴がそこまでないオレだってわかるぞ。最早それ、“一発ヤれたらいい”みたいな考えと同義じゃねぇか。言語道断‼)
(ないない‼前者はともかく後者は天地がひっくり返ってもありえねぇ‼学年首席の紫様だぜ!?オレ如き手に入れるために、そんなワカリヤスイ愚行を犯すとは思えねぇ…。)
ちらり、と嶋が顔を上げると同居人と視線が絡み合う。…紫はほんのちょっぴり頭を傾けて、おずおずと口を開く。
「…さっきのシャワーの話だけど。」
嶋が目を戻すと、凛とした双眸が彼を射貫いていた。麗しい淡い色をした瞳の光沢に、嶋の目は釘付けになる。
(鼓動が早まる。)
(息が…やけに苦しい。)
(吐息が嫌に熱っぽい。)
嶋はごくりと唾をのむ。
(こりゃまるで…オレが…紫を…。)
「やっぱり僕、嶋は心底最悪なダメαだと思うんだ。だって、Ωに対してのあの誘い文句は、半ば露出狂みたいなもんだよ??」
(前言撤回ィィィッ‼)
(このバカΩ、いつか絶対、痛い目に合わせてやるぅ~~~っ‼)
嶋は笑顔を張り付けたまま、内心頭を抱え床を往復ローリングしたい欲求に駆られる…。
ぎくしゃくした雰囲気のままの夕食は、紫が先に終えた。…嶋のが食べる速度は勝っている。が、生姜焼きが憎い奴で食べても食べても飽きない。冷めても美味しい。…というわけで、嶋は白米を一度、おかわりしていた。美味しい、と褒めただけなのに紫のほっそりした手が伸びてきて、さっさと空のご飯茶碗を攫っていった。キッチンに駆けこむ姿に焦ったが、いらないのかと問われたら…『おかわり』の四文字を答える他なかった。食後のお茶まで淹れてくれる、紫の甲斐甲斐しさに同居人はうっかりすると見惚れてしまいそうになる。
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