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「来てくれてありがとさん!先生!」
貴志を先生と呼んだ大将を見て驚いた。
「その先生ってやめてください。ただの会社員ですから。」
笑顔で話をする貴志を、優しい目で見ている大将には記憶があった。
・・・おばあちゃんの家の近所のおじさんだった。
そっか、居酒屋の大将だったのか。
おばさんも元気そうだった。
「あれ・・・?藤沢さん家の透くんじゃないかい?」
いつも蜜柑をくれた。
多く作ったからと、クッキーももらったことがある。
何かと良くしてもらったおじさんとおばさんが、懐かしそうに目を細めて笑いかけてくれた。
「ご無沙汰しています。おじさんもおばさんもお元気そうで。」
「透くんも立派になったわね。」
おばあちゃんが亡くなる前に引越して行ったが、ここでお店をしていたのか。
懐かしい思い出が蘇った。
「・・・みずほさんはお元気ですか?」
おばあちゃん家に住む俺を揶揄っていた男子を、こてんぱんにノシたおてんばなお嬢さんは今では結婚して一児の母をしているらしい。
「さあさあ、たくさん食べていってね。」
「ありがとうございます。」
貴志に説明しながら、メニューを取った。
「・・・でね、良くしてもらってたんだ。」
「ふふ、繋がってるんだね。」
そのとおり。
人の縁は不思議なものだ。
あの公園で出会った貴志とも、不思議な縁で繋がった。
「おばさん、ビール2つ。」
注文したところで、お店の扉が開いた。
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