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35《和樹視点》
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まずい、非常にまずい。
祐を怒らせてしまった。
確かに二日間休んでいたから学校に行きたいだろうし、何より高校生だ。僕と違って暇ではない。
祐の部屋のドアをノックする。
「祐?さっきはごめんね。祐を目の前にするとどうしても感情が抑えられなくて…」
返事はない。嫌われてしまっただろうか。
「ねぇ…祐。返事して?」
「………来ないでください。もう話すことはありません」
正直言って凄く傷付いた。泣きそうになるが、僕ももうそろそろ三十路。流石にこの年で泣くのは自分でも気が引ける。
だが大好きな人に距離を置かれるのは凄く胸が苦しかった。
(うぅっもう泣きそう)
「そっか………おやすみ…」
そういって自分も部屋に戻った。
一晩中ぐるぐると祐のことを考えた。どうしたら許してもらえるか。途中途中泣いてしまうこともあった。
結局一睡も出来ぬまま夜を越した。
朝になり、朝御飯を作って祐が起きてくるのを待った。
しばらくすると制服姿の祐がリビングに入って来たが、ご飯を食べると直ぐに行ってしまった。
「ゆ、祐!」
慌てて追いかけ、手を掴む。
「……遅刻するので離してください」
「ご、ごめん…」
おとなしく従って離すと颯爽と玄関を飛び出していった。
(そんなに拒否しなくても…)
暫く玄関にうずくまり、小さな声で泣いていた。
気づくとお昼頃で、ソファーで寝ていた。
「んぅ…」
「あ、起きられましたか」
「誠くん…」
「玄関で寝てらしたのでリビングに運んでおきました」
「ごめんね…ありがとう」
「いえいえ、当然のことです」
そういって誠くんはお昼ご飯を机の上に置いた。
「お食べになられますか?」
「うん。本当にありがとう」
暫く静かに食べていた。
ふと、思ったことを口にした。
「そういえば誠くんってさ」
「なんですか?」
「金髪ピアスの割に家事もできるし、面倒見もいいし、ご飯も作れるよね。ギャップ萌えってやつかな。最初ビックリした」
「俺、下に兄弟が沢山いるので…金髪ピアスなのはなんとなくです。興味があったのでやってみようかなーって感じで」
「へぇ~…すごいね」
「そんなことないですよ(照)」
そういって仕事に戻っていった。
ご飯を食べ終わるとテレビをつけてだらだらした。
(暇だな…)
祐には言っていないが、これでも店長なのだ。風俗のだが。
(だから特になんもすることないな…)
そんなことを思っていたとき、ふと固定電話が鳴った。直ぐに誠くんが出たが、僕に変われといった目線を送ってきた。
「はい、はい…いいえ、違います。はい、分かりました。………学校からです」
そういって受話器を渡してきた。
「お電話変わりました。橋谷です。」
『草薙祐さんの保護者の方でであっていますか?』
「はい、あっています。」
なんだろうか。祐に何かあったのだろうか。
『実は草薙さんが高熱を出してしまっていて…40度を越えたので病院に連れていきました。今は病室ベットで安静しているのですが、保護者に連絡しようとすると凄く嫌がっていて…無理は承知なのですが、お迎えできますか?』
「……はい、できますよ。どこの病院ですか?」
『△△病院です。交通費はこちらがお出しします。』
「あ、いえ、大丈夫ですよ。直ぐに向かいますね」
『お手数おかけします。では失礼します。』
ガチャン
「誠くん、後は頼んだ」
「任せてください。お気をつけて」
そうして車で病院へ向かった。
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