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抜糸も済み、やっと退院できる日がやってきた。
リハビリ内容の資料を受け取り、和樹さんの車に乗り込む。
(あぁ、和樹さんのいい匂いがする…)
スンスン嗅ぎまくっていたせいか和樹さんが心配そうな音色で訪ねてきた。
「も、もしかしてタバコ臭い…?ごめんっ、祐が入院してるあいだ口寂しくてずっとタバコ吸ってたから…」
あわてて首をふって否定する。
「そう…?じゃあ帰ろうか。僕たちの家に」
そういって車を発進させた。
車内でなんとなく不安になって、和樹さんの上着をかってに拝借した。
「寒い?」
首を降って上着に顔を埋める。
(和樹さんの匂いがやっぱり安心する。ずっと嗅いでたい…)
我ながら変態だなと思いながらスンスンと上着を嗅いでいると、和樹さんに頭をポンポンと撫でられた。
「家に帰ったらリハビリちょっとやろうか。お仕置きは今度ね」
忘れてくれてなかったか…と思っていると家についた。
久しぶりの我が家。
玄関で靴を脱ぐと、和樹さん抱き抱えられた。
「おかえり、祐」
「ぁいまぇすっ!」
はっきりとした発音はできないものの、抜糸をする前に少し先生と練習したのだ。
少し赤ちゃんみたいな言い方になってしまうが、意味は伝わる。
するとリビングの方から駆け寄るようにして人が来た。
「祐さん!」
「まぉ?」
自分では誠といっているつもりなのだが伝わらなかったらしい。
「まお?」
「ふふふ、誠?だってよ」
「声の手術ですよね…?」
「舌に麻痺が残っちゃったみたいで」
俺は困ったようにはにかむことしかできなかった。
「よし!今日は祐さんの復活祝いですよ!ハンバーグ作りましょう!」
「!?」
これでもかとばかりに和樹さんから降りて誠に抱きついた。
ーあぁ、平和な日々が戻ったんだなー
そう実感した。
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