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141《和樹視点》
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「ご主人様は今ここに居ないから好きなだけ泣いていいんですよ」
そんな声が祐の部屋から聞こえた。
廊下の手すりでリハビリをしていたのだが、いつの間にかはじっこらへんまで来ていたのだ。
祐が泣きじゃくる声が聞こえた。
「きっといつか思い出しますよ」
その言葉を聞いて安心したのか、泣き声が聞こえなくなった。
「おれ…記憶なくなって起きたときすごく怖かった。和樹さんもそう思ってるなら俺ばっかり泣いていられない……」
(祐も……記憶がない?)
どういうことなのか理解ができない。
「でももうちょっとだけぎゅーってしてて…」
「かしこまりました」
そこで会話が途切れた。
そっと音をたてないように、痛むあばらに気をつけて車椅子に乗る。
その日一日中記憶についてずっと考えていた。
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