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「出来た…出来たぞ…!!最高傑作だ…!」
ミギナの嬉々とした声にメイアは薄らと目を開ける。
もう寝台と化してしまった実験台に雑に転がされていたメイアは身体の痛みと激しい頭痛に乾いた息を吐き出した。
気を抜けばまた意識が飛んでしまいそうだ。
そんな中今までにないくらいに騒ぎ立てるミギナの声に不意に、聞いたことも無い声が混ざる。
「そう言っていただけて光栄です、主」
凛とした低く澄んだ声だった。
メイアは思わず目を見開いてその声の主を見つめる。
サラリと流れる暗めの赤髪に切れ長の双眸。
スラリと伸びた背と堂々とした立ち居振る舞いに目を惹かれた。
今までの記憶の中には存在しない知らない”人間”である。
その姿に目を奪われていると、不意にミギナの視線がメイアに向かった。
「あぁ、起きたのか」
その言葉に彼がふと振り返ってメイアを見た。
髪色と同じ、赤い双眸がメイアを捉えて僅かに驚きで見開かれる。
「こいつはメイア、お前と同じように知能と感情を持っている初期の個体だ」
「…はじめ、まして」
メイアは寝たままお辞儀をするように頭だけを少しばかり縦に動かした。
その態度にミギナの目が怪訝そうに細められる。
「メイア、初対面の者に寝たまま挨拶とは、いつからそんな大物になったんだ?」
「…すみません、今すぐ起きます」
メイアはそう言って何とか上体を起こすが意識が飛びそうになるほどの痛みに顔を大きく歪ませた。
それを見ていた彼はメイアの肩をそっと支えて再度横になるように促す。
「主、俺は構いませんから。寝ていた方がいい、顔色が良くない」
「…すみま、せん…」
彼の優しさに甘えて再度横たわったもののミギナの目が怖くて思わず目を逸らしてしまった。
彼はそんなことなどお構い無しに少し目線を落としてメイアの手を握る。
完全な無機物の自分とは異なる大きく上品な手は確かな熱を持っていて、向けられた笑みは善意そのものだった。
「初めまして。俺はセレン、よろしくな」
初めての感覚に心臓が跳ねる。
また身体に異常が出たのかと思う程全身が火照り、セレンと名乗る彼から目を逸らすことが出来なかった。
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