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はじまり
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拓也は、スクロールして流し見る。
ふと、スクロールしていた指を止め同じような服装で体を寄せ合って写るゲイカップルの写真をみる。
この二人、付き合い始めたんだ。
以前、SNSで知り合い拓也も面識のある二人だった。
ダブルタップでハートマークをつけ、スマホ画面を閉じ外へ視線を移す。
見慣れた風景が颯爽と過ぎ去っていく。
何故か、急に虚無感にも似た感覚に襲われる。
恋人と別れてから3年近くが経ったが、その間特定の相手はできていない。元々、恋愛体質ではなくひとりで居ることが苦痛だと思ったこともないからかもしれない。
むしろ、気ままで何をするにも自分次第の身の振り方ができることに快感すら感じていた。
しかし、最近、ふとこうした虚無感にも似た感覚に襲われることがある。
自覚がないだけで、もしかしたらひとりで居ることに寂しさを感じているのだろうか。
性格的には、決して人と関わることは嫌いではない。むしろ、好きな方だと自分では思っている。しかし、恋愛となれば話は別だ。
何故、恋愛を牽制してしまうのか。
それは、自分がゲイであることとも関係しているかもしれない。
同性の恋人ができたとして未来がみえないと感じてしまう。
それは、異性恋愛においても同じかも知れないが。しかし、それ以上にゲイであることで、結婚、子供など社会的にも法的にも困難なことが多いのは事実だ。
いまの日本では、同性同士の結婚は認められていないが、自治体によっては婚姻関係に相当するパートナーシップを制定しているところも増えてきた。
昨今の、同性愛ブーム(と言っていいのか少々謎ではあるが)の流れに乗って、日本でも自分たちの性について世間に公表している芸能人をはじめ、一般のカップルたちもSNS上を中心にオープンに活動している同性愛者が増えてきたように感じる。
自分もゲイであることを隠さずに生きていきたいかと言われるとそうとも言えない。
もちろん、隠さずに生きていくことができるのならばそれは喜ばしいことだとは思う。
ただ、そうすることで得るメリットよりもデメリットの方が大きいと感じてしまう。
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