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「優斗? 大丈夫か」
「ッ……」
亮雅さんの顔を見ると思考がぐしゃぐしゃになっていく。
平常を保てないのは夢があまりにもリアルだったからで。
「なんで……こんな夢ばっか、」
「……優斗、ちょっと来い」
「へ、でも……」
「大丈夫。すぐそこだ」
そっと陸を見下ろし、亮雅さんの手を掴んで立ち上がる。
テントを出てすぐのところにベンチがあって、そこに腰をかけた。
「……目を離したら、陸は死んじゃうかもしれない」
「陸が起きて独りでに飛び出したりしないよ。俺かお前のところに飛んでくるだろ」
「でも……夢で」
「優斗のその夢は、お前が受けた過去が見せている空想だ。克彦に寝かせてもらえなかったと言ってただろ。そのトラウマが深く根付いてるせいでそんな夢を見るんだ」
「……」
背を抱き寄せられ、亮雅さんは「だから大丈夫」と髪にキスをした。
「ほん、とに……怖かった」
「そうすぐに改善できる話じゃない。自分を責めるんじゃないぞ」
「はい……すいません」
落胆して肩をすくめていると衣が被った海老を口許に差し出される。
「エビ……」
「まだ揚げたてだ。口開けてみ」
「ん、」
サクッと崩れた衣の中から柔らかい海老の食感がした。
微かに甘味があって美味しい。
「おいしい、です」
「な? 口許ついてるぞ」
「え……どこに、んむっ……」
唇が重なり、舌を絡められる。
後頭部をなでる優しい手が心地よくて目を閉じれば、快感が脳の奥深くまで響いてきた。
「は、ん……んぅ……っ、だ……」
下腹部がゾクゾクとうずき始める。
官能的な舌の動きに体が痺れていき、徐々に力をなくしていく。
「ン……んふ、はぁ……だ、め……力が、ん……」
「…………お前に聞こうと思ってたんだけどな。接客が苦手なら、宴会ヘルプには入らなくていい。優斗は何もかもやろうとしすぎだ」
「……そ、れは」
「仕事ができないのが嫌だなんて思わなくていいんだよ。そう思ってるのはお前だけだ、やりたくないことはそう言えばいい」
「……」
「プレッシャーを感じやすいやつもいるからな。陸のことだって、親は優斗だけじゃない。俺がいるだろ」
「は、い……っ」
恐怖を感じるのが怖い。
考えてしまうのが怖い。
でもそれが俺の思い込みだってことは知っている。
だからこそ、亮雅さんを頼りたくなってしまう。
「性別ってのは確かに関係ねえけど、子どもだって男女でできることも違うし個人差がある。陸はああ見えてタフで賢いんだ。テントを出ても近くに俺たちがいなかったら、大人しく中で待ってるよ」
「そう、なんですか」
「ああ。置いていったって後で怒るだろうけどな」
ははは、と笑う亮雅さんの姿を見ていると気持ちが落ち着いてくる。
以前は目覚めたときに1人だと大泣きしていた陸も、1年の月日を経て泣かなくなった。
1人で学校にも行けるし、目に見えて成長している。
そうだな……
心配しすぎなだけで、陸はちゃんと成長しているんだ。
「俺が怖いのは、どっちかっつーと優斗が誰かに誘拐されないかってことだよ」
「……されないです。もう、あんな思いしたくありません」
「俺もしたくねえ。それに、浮気だの不倫だのできるほど暇じゃねえから安心しろ」
熱くなるまぶたを拭って唇に指で触れた。
亮雅さんの愛はいつも真っ直ぐに俺を向いている。
怖くない。焦らなくていい。
俺だって男なんだ。
過去や悪人に負けたくない。
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