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❀克彦×優斗『if story』
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本編の途中ですが、ここで何度かリクエストをいただいていた克彦と優斗が付き合っていたら、というifストーリーを書きました。
※妄想になりますので、本編とは一切関係がありません。
苦手な方はブラウザバックをおすすめします。
克彦と優斗が好きな方はぜひお楽しみください。
____**
『はい、アイス』
数分だけ外に出てみただけで体中に汗がつく。
麦わら帽子をかぶって克彦とやってきたのは博物館だった。
それも小学生ではなく中学生の頃だ。
『あっつい……』
『サングラスでも持ってくればよかったな。目が焼かれる』
『うん』
首元の汗が止まらなくて鬱陶しく感じていると、克彦の手が首筋に触れてきた。
『っ』
『熱中症、気をつけねえとな』
『そ……うだな』
俺にとって克彦は兄以上の存在でもあって、まさに欠けてはならないものだった。
こうして博物館に連れられたこともいつの間にか記憶から消えていたが、この頃は生きていてよかったと思うほどだった。
『インドミナス・レックス』
『え?』
『こいつ、そういう名前らしいぞ。12メートルもあるとかデカすぎだよな』
浅い柵で遮られている恐竜の標本。
原寸大ともなると迫力がすごくて圧倒された。
プレートをよく見てみると、『お触りOK』との表示。
『触っていいんだ……』
『なーにビビってんの。食われたりしねーって』
『わ、分かってるけど』
こんなに大きい動物が過去には存在していたのか。
『ばぁッ!』
『うわぁ!?』
『ぷッ、ふはははっ……!』
『な、にすんだよ! 心臓止まるだろっ』
克彦のからかいに赤面し、麦わら帽子で顔を隠す。
お化け屋敷でもないのにいつもからかわれてばかりじゃないか。
『触ってみろって。こいつ可愛いぞ〜』
『……なんかムカつく』
『ふくくっ、短気だなぁ』
『お前が言うな』
ふー、と息をついて手を伸ばすと硬い骨の感触が指先に伝わる。
かっこいい……
思わず目を光らせてしまいそうな感動だった。
隣で恐竜に触れている克彦を振り返れば、優しい瞳で見つめられたのを今でも覚えている。
俺はきっと欲しかったんだ。
あの頃の笑顔が。
「____え? 仕事をやめた……?」
突然、克彦に呼び出されたかと思えば、信じられないことを言ってきた。
克彦は有名企業のプログラマーで、福利厚生等も手厚く保証されていた。
そんな大企業を辞職するとは思ってもいなかった。
「どうして……」
「あんなクソ会社、こっちから願い下げだったんだ。金と権力だけが取り柄のキモい上司に縛られなくなって清々してるわ」
暴力的だった克彦が手を出さなくなって数日、なにがあったのかと思っていればそういうことらしい。
俺の上司である松本亮雅さんの叱責が効いたのだろうか。
「優斗……まぁ、なんつーの。悪かった」
「え…………」
「お前の気持ちなんて一切考えてなかった。俺は正真正銘のクズだ」
「……」
「お前の好きにすればいい。ここを出ていくのも、止めねえよ」
悲痛な声が克彦の口から漏れだして、俺の心もモヤモヤと霧がかる。
そんなの……自分勝手すぎる。
突然辞職を告げられて、散々縛り付けられていたのに今さら出ていけなんて。
「なにしてんだ。早く出ていけよ」
「……かない」
「?」
「出ていかない、俺は……」
「正気か? お前を散々ぶん殴った兄貴だぞ。逃げ出せて万々歳だろ」
「でも俺はっ……克彦と、いたいから」
「は」
頭がおかしいやつだと思われるだろう。
俺にとって克彦は兄以上の存在だ。
これからもずっと一緒にいたいと思う、特別な存在。
「…………」
「嘘じゃない。克彦がいたから……東京にまでついて来たんだよ。勝手に出ていけなんて、意味が分からない」
「……はぁ。お前、あの男に感化されてんじゃねえのか? てっきりあのオッサンとできてんのかと思ったのによ」
「悪い、かよ……克彦とじゃなきゃ嫌だって、子どもの頃から言ってきただろ」
自分の口から言うのは悔しかった。
でもこの分からず屋には、はっきりと思いを口にするしか伝わらないんだ。
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