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「変な顔してたな」
「ヘン、こわい顔してた」
陸でも分かるんだ……
俺の思考は自意識でもなかった。
それを知って少しホッとしたような。
「というか、あれ? まだ買ってないんですか」
「ああ、実を言うとさっきから優斗を見てるやつがいるなとは思ってたんだ。気のせいかもしれないし、お前を怖がらせるわけにもいかなくて言わなかった」
「……」
思わず胸が鳴った。
亮雅さんはずっと見張っていたということか。
さすがすぎる……
「ちなみに陸も気づいたぞ」
「えっ!?」
「な?」
「気づいたっ、ゆしゃんみてた」
俺だけ鈍感すぎたってことじゃないか……
亮雅さんがいる安心感で周りのことを無視していた。
「安心しろ。こっちには護衛が2人ついてるだろ」
「……陸にまで守られてるんですね、俺」
「まもる! パンツマンは強いんだよぉ」
「ははは、ありがと」
守られることにさえ罪悪感を覚えていたが、それは勘違いだった。
今は少し、感謝の気持ちだけでいられそうだ。
帰宅して2時間ほど経った頃には、亮雅さんと陸が就寝した。
俺はベッドに入ったものの原稿を進めたくなってデスクに向かう。
「少年は……恵まれていた」
不遇な目に遭うばかりでも、本当は自分を大切にしてくれてる人が近くにいる。
それを気づかせてくれた。
「そーだじゅーす……」
陸の寝言。
思わず立ち上がりそうになったが、ふふっと笑って向き直す。
陸はよく食べものの夢を見る。
どんな夢なのだろうと気にはなるけど……
「目、悪くなるぞ」
「!」
今度は本当に驚いた。
振り返った先に亮雅さんが立っていて、起こしてしまったかと目を伏せる。
「すいません、起こしましたか」
「いや、肌寒い気がしたんだ」
イスの横に立った亮雅さんが俺の肩に手を回す。
見られる恥ずかしさより、物悲しさを感じていたところに救世主が来たような気分だった。
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