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お弁当
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今日も長い授業をやり過ごして昼休みになった。お腹空いた...
「つむぎ〜、やっとメシや〜...」
レイがぶつくさ言いながら、自分の弁当を持って俺の机に寄ってくる。そういやこいつ、料理もできたな...
見慣れたと思っていた弁当箱の中身も、よくよく覗き込んで吟味してみては凝ってるなあ、と感心した。
お小遣いを浮かせるために握った自分のおにぎりが恥ずかしくなってくる...
最初話したように、俺は大阪の進学校を受けたので一人暮らしになった。
初めはほんとに慣れなかった...一人っ子だったので、洗濯物や洗い物は家の手伝いであらかた理解していたけど、さすがに1人ではキツイ...
しかも俺は料理がからっきしダメだった...
レイの弁当と自分の申し訳程度のおにぎりを見比べてはぁ...っとため息をつくと、レイがまた顔を覗き込んできた。
「ん?つむぎ、おかず欲しいん?」
その言葉を聞いて俺はレイのお弁当に釘付けになった。
「べつに...」
「またそんなんゆうて...ほんま素直ちゃうなあ」
わしゃわしゃ、と頭を掻き回される。
だって...なんか悔しいじゃん.....
「ええよ、食べり」
レイがほら、と自分のお弁当箱を俺の方に寄せてくれた。
卵焼き、唐揚げ、ウインナーにチーズハム...
見ただけでヨダレが出そうだった。
「......ありがと」
つっけんどんにしか言えない言葉と裏腹に、自分でも隠しきれず顔がほころんでるのがわかる。
表情と言葉がごっちゃになってるけど、俺のおにぎりへの小さなプライドはポッキリ折れ、程よい黄色の卵焼きを箸にとり食べた。
レイも自分のお弁当に向き直り、食べるのを再開する。
「今日俺ん家くるやろ?」
「あー、今日はパス」
おにぎりを食べ終え、サランラップの残骸をカバンのポケットに詰めながら話す。
「そうなん?卵焼きの貸しがあるのに?」
「貸しってなんだよ!!!貸しも何も...今日は予定があるんだよ...」
朝、いつも見るニュースで最寄りの駅から少し電車を乗った所にある、シュークリーム屋さんの紹介をしていたのだ。
『外はサクサク!中はトロトロ!ベアードママの新作シュークリームを試食しに来ました〜!!』
アナウンサーの女の子が美味しそうに食べていたシュークリームを思い出して、お昼ご飯を食べたばかりなのにまたヨダレが出そうになる。
...恥ずかしいから、レイにシュークリームを買いに行くとは言えないけど...
なんでや〜とレイは駄々を捏ね始めたが、俺はあっさり無視した。
でかいのに駄々捏ねても可愛くねーよ...
そう思いつつも、子供みたいなレイを見て、少し微笑ましく思った。
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