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怪物
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俺は全員の恐さを正月に見せつけられた。
正月3日にお富さんと鎌やんとモリクミが遊びに来た。
「あーんやーん!!お帰りなさいー!!寂しかったーん♪」
「先輩たち明けましておめでとうございます。お富さんもお帰りなさい」
「松永君長野君久しぶりー、でもないかなwww」
戸田と奈々子は今年結婚式するんでお互いの実家に挨拶兼ねて里帰りに行ってて来なかった
「児玉は?じゃない。児玉先輩は?」
「児玉ぁー?あ?忘れてた。いいんじゃない?」
「別にいてもいなくても同じだし」
ひでぇ。
児玉も実家東京だから帰って来てるんじゃないんかい。
全員やないけど集まった連中で松永の作った雑煮と飯食ってた時にそれは勃発した。
「松永ー。お前同窓会の通知先教えてないん?」
俺が高校の同窓会に正月帰省してた時に行ったんやけどそこで松永の話題がちょっと出たんよね
「長野お前松永君と連絡取れる?」
「なんで?」
「同窓会通知戻って来て連絡取れんらしいのよ」
「へー」
松永が住んでた離れはぶっ壊してる。
同窓会名簿の住所で送ってる通知も宛先不明で戻って来てるやろう。
うちの高校ってさ同窓会合同でやったり、年齢越えてホテル借りてやったり結構盛んなんよね。
で、1年か2年の時松永と同じクラスやったやつが3年の時俺と同じクラスにおるんやけどそいつの話だとなんで松永のこと毛嫌いしてたとか陰口叩いてたんやろね?ってそのクラスの同窓会でなったんだと。
松永がなんも悪いことも嫌われることもしてなかったんやけどどうしてあんなことしてたんだろう、ってさ。
んで、謝りたいってね。
同窓会来て欲しいから連絡先探してるらしい。
でもさ、松永と同じ中学から来たやつ数人しかおらん高校でそいつら共疎遠やし、本家(松永の父ちゃんがいるところ)って言うの?そこの存在知らんけん、離れに住んでたしかしらんけん建物無くなった今では消息不明扱いらしいんよね。
そんな話を飯をしながら俺がしゃべってたんやけどモリクミが鼻で笑った。
「フン、お花畑の頭ねー」
「おぅ?」
俺は謝りたいって悪びれた様子で言いよったの聞いてたけん「まぁ松永に話してみよう。んで、松永よければ同窓会合同でやるのに連れて行こう」と思ってたんよ。
「だねー。ずれてるね」
「バカなんでしょ」
モリクミに続いて鎌やんもお富さんも餅食いながら俺の話を「で?」って感じで気にもしてなかった。
俺はなんか「あっれー?なんだこのどーでもいい雰囲気」って空気に驚いとった。
「ちょ?みんな謝りたいって言いよるけん松永一緒に同窓会行かん?」
「長野くーん?」
モリクミが俺を馬鹿にするような目で見とった。吉野を見る時の目や......
「長野君もずれてるー。その人たち自分たちのことしか考えてないよねー」
「自分たちが楽したいだけじゃない」
餅食い終わった鎌やんとお富さんが飲み物注ぎながら吐き捨てた。
松永は聞いてるのか聞いてないのか黙々とホウレン草のおひたし食いよった。
興味なさそうだった。
お.俺なんかおかしいこと言ってるんか?
「楽ってどいうこと?」
「そのままの意味。その子たちあれでしょ?謝ればハイ、これで昔のことは水に流してわだかまりもない!!ってなりたいだけでしょ?その子たちにその権利はないでしょ。謝ったら許される、自分たちが楽になりたいだけでしょ?もうこれで自分たちは悪くない、謝りたいってことは自分たちが悪かったって自覚してるのよね?これ分かる?」
お富さんが言った。
「だねー。謝って昔の事実を美化したりなかったことにしたいのかなー?都合よすぎないかなー。松永君はどう思うー?」
「興味無いからどうでもいいんです」
「だそうだよー」
鎌やんの質問に松永は長い付き合いで分かるんやけど「本当にどーでもいい」って感じで答えた。
「ねーん、ねーん松永くーん。なんでそんな連中立ち上がれない位にコテンパンに人生メタメタにしないのー?あーん!!松永くーんそれ位簡単にちょちょいのちょいよー?あーん黒い松永君って設定もいいっ!!夢広がるっ!!」
「そうだよー。僕たちの中で一番そういうの得意そうだしー。やっちゃえー」
「追い込んだところでねぇ.........相手が小物っぽいからつまんなそう」
おい。
お前ら笑いながら物騒な話してるけどお前らの頭ん中で何考えてんだ
「ちょ.......僕のことなんだと思ってるんですか。僕そんなことしないし考えたこともない。クラスメイトの名前一人として覚えてない位なんですから、彼らのこと嫌いだったけど恨んだり憎んだりはないんですよ。興味がなかったんです」
「マジ?松永クラスメイトの名前全く覚えとらんの!?」
「うん。先生たちの名前も記憶にない。クラスメイトの顔思い出せない、ってよりも.......見てなかったwwww」
お前笑いながら言うけどどういうことなの..........
「あ、でも目立つ人はかすかに覚えてるよ。同じブロックの応援団長してた長野とかは顔覚えてたし」
「顔覚えてくれてても同じ電車で通ってたのは見てなかったんやね......」
「モリクミ先輩とか鎌田先輩とお富さんみたいなこと僕しませんよ。僕本当に学校時代のこと恨んでたり、根に持ったりとかないんですから。言われるまでそんなことになってるなんて知らなかった」
こいつらみたいなこと?
こいつら何したーん!?
「俺松永と連絡取れるけん松永に言っとくって言うたんよ」
「えー.......なんでそうなるん?めんどくさい」
「松永君、簡単じゃないかー。一生恨んでやるー!!死ぬまで憎むーっ!!て長野君その人経由でみんなに言ってあげちゃえー」
「ちょやめて下さい!!僕そんな風に思ってないですから」
鎌やんの言葉にモリクミとお富さんがゲラゲラ笑ってた。
「次回の同窓会お通夜だわーんwwww一生恨まれてるーっwwww」
「そんな殊勝な人たちなの?気にはするかな?一生気にしてくれると楽しめそうwww」
「僕をネタにして楽しむのやめて下さい........」
心底楽しそうにゲラゲラ笑ってたこの化け物三人組が笑いをピタッと止めて俺を見た。
急にマジ顔で俺を見た三人の目にビクッとした。
「長野くーんそういうことだからーん。せっかくのお正月につまんない話やめてねーん。松永くーんの口癖じゃないけどーどーでもいいーのーその人たちのことなんてー。松永くーんと長野くーんのことだけでいいのー」
「いや.....俺は」
モリクミが酒飲みながら言う。
「私たちそういう慣れ合いとか嫌いなの。分かる?私が松永君の立ち場だったらそうね。もちろんしないけど例えだからね?そうねー、私ならこう言うかな。じゃあみんな正座してもらって金属バットで一人一人フルスイングさせてもらうけどそれでもいい?って伝えちゃう。びびって謝りに来ないでしょ。その子たちの謝りたいって気持ちなんてその程度の軽い同窓会ネタの一つじゃない?その場の流れで言って勝手に盛り上がっただけじゃないの?探したいならお金使って探偵でも雇うなり誠意見せて謝罪するでしょ?それすらしないで見つかればいいなー位で友達の長野君とかたくさんの人にベラベラしゃべって人任せってどうなの?」
「そう言われるとさ.......」
俺はよかれと思って話したんやけどお富さんにきつい口調で言われた。
「長野君、僕たちねーちょっと長野君に幻滅してるの分かるかなー?」
「もういいですから」
鎌やんが続けて言おうとするのを松永が止めた。
空気がなんかピーンっで張り詰めた。
「僕と連絡取れるって言っちゃったんよね?だったらなんとも思ってないし、でも同窓会にも興味ないから行くことはありませんって伝えてあげて。連絡先も個人情報が叫ばれる社会なのでむやみに人に伝えないようにしてますってことにして」
「分かった。なんかごめん。俺いいことなんやないかと思って.......」
「ううん。僕本当に覚えてないのにwwww拒絶してたからその人たちのこと覚えてないないwwwされてたことは覚えてるけど恨んでないし。なんだかその人たちも可哀想だね。長野ごめんね」
三人の空気を変えようとしてるのか松永がいつも以上に明るく言うんやけど、三人がそんな松永をジロッと見て空気変えた。松永の気持ち汲み取ったのかもしれん。松永がいいんならそれに合わせるとでも言わんばかりにね。
獲物狩る時のハンターみたいな目ってあんな感じなんかな
正直びびった。
その後はいつも通りやったんやけど三人帰った後に
「長野危なっかしい」
って松永がボソって言った。
「あの人たち本当に恐いんだよ?長野は分からんかもやけど。長野と違って僕先輩たちと同じ大学でずっとそばで見て来たから恐いの知ってるんだから。優しいけど恐いんだよ?」
「なんかすんげー空気変わったな。マジびびった」
「普通じゃないんだから........」
普通じゃない、って差別みたいな言い方になるんやけどって松永は釈明してたけどなんか納得した
「敵って認識したら心ボッコボコにする人たちなんだから.......ゴジラみたいな破壊力なんだから」
「ゴジラwwww」
不意にゴジラって言葉出て笑ったけど理解した。
「でも長野がもし」
そう言ってラタン撫でながら松永が「ネー♪ラタンーっ♪」って言葉が途切れた。
「もしの後なん?」
「ないやろうけどもし先輩たちが長野に攻撃してきたら僕が守ってあげる。三人潰す。安心しぃー。返り打ちに合うかもやけどねwww」
「そりゃ心強いなwwww」
松永の大学ん中でどんな関係性だったのよお前ら......
会話が不穏過ぎんだろ。
あいつらも松永も笑ってたけど本気で言いよるのが分かるけん余計にね。
「ピキーンッってなったよね。あん時」
「そうやな。効果音付きかと思う位空気張り詰めたな。俺あんな感覚初めてやった」
「僕は何度も先輩たちのそんな場面見たよ?その後のことは興味ないから知らないけど.....悪い顔してたりするからいろいろしたり......うーん、どうして先輩たち普通に生活出来てるのか今でも分からん。不思議な人たち」
「ああ。俺の会った人間ん中では強烈やね」
「うん。僕の会った人たちの中でも強烈。あとね、お富さん言ってたこと例えじゃないと思う。お富さんすると思う」
「うぉ?」
「フルスイング。あれ本気で言ってた。あの三人の中でお富さんが一番恐いんだから。僕は分かった本気で言ってるって」
「恐ぇ........お富さんはモリクミよりはまともと思っとったけど」
「お富さんも切れたら恐いよ?学食の食堂のテーブル叩き割ったことある」
「なぬっ!?」
松永の大学の食堂のテーブル分厚い木で出来取ったが叩き割る!?
「お富さん切れるとすごい力が出るんだって。小さい頃に気付いたそうだけど怒って親戚の大人のお兄ちゃんに水平チョップしただけで鎖骨折っちゃったんだって。それからは切れたら物に怒りぶつけるようにしてるって言ってた。写真部の部室の電気のスイッチをね、虫の居所悪くてただ指で押しただけなのに壁にめりこんで穴が開いたっっ!!て言ってた。怒ると自分でもどーしよーもなく火事場のなんとやらの力発揮しちゃうって」
「おいおいおいおいwwwwマジかwwww」
「滅多に切れないけどね。そうなったお富さん止めるのはいつも鎌田先輩とモリクミ先輩だけど二人だから止めれるんだよね。あの人たちも恐いから。だからお富さんまともそうに見えるけどモリクミ先輩たちと対等でいられるんじゃないの?モリクミ先輩もお富さん怒らすと面倒だって分かってるしお互いのこと知ってるから。鎌田先輩もそうだけど」
お富さんも結構強烈な生き物やったか。
モリクミ以上の腕力系女子だったか。見た目ひょろいのにな。人は見た目では分からんな。
「松永の回りは変なやつばっかり集まったなぁ」
「類は友を呼ぶって言いたいの?」
「まぁなwwwお前も相当変わった生き物やけんなぁ」
「僕は社会から見て一番社会に適応している人間だよ。一番社会の人間のロールモデルとして相応しい人間だと思う」
普通の人間がそんな言い回しで自分を評価するか!!
「でもね、先輩たちが一番最初に出来た友達なんよ。あんな人たちでも大切なんよね」
「あんな人たちwwww最初は俺やろ?」
「長野は違うよ」
「はぁー?違うくないやろ!?俺が一番に出来た友達やろーもん!!」
ムキになって俺が言ったら
「長野は彼氏、僕のパートナーだから」
ってボソっと言った。
それって特別ってことやね。
あいつらよりも俺が上ってことやろ?
「まぁ。それなら最初に出来た友達はあの化け物共に譲るわ。んじゃさ。彼氏でパートナーで大事な旦那の俺と今からエッチしよっか」
「はいはい........帰ったらそうなるんだろうなーとは思ってた」
しょうがないって顔しながら松永が洗面所に行って風呂入れてる音がする。
俺は二人きりの時に家でしてるように、いつものスッポンポンに戻った。
「今日どんなシチュエーションでエッチしよっかー?」
「どーでもいいよ!!」
「じゃあモリクミが脱ぎ捨ててった羊の着ぐるみでも着てしてみよっか」
「それ楽しいの?」
松永が風呂場から大声で俺の言葉に返事してた。
モリクミが「あーん!!荷物になるから置いてっていいー!?」って言って置いていった羊の全身着ぐるみを俺は手に取った。
モコモコしてんな。
「..............ないな」
壁に投げつけてフルオッキさせて愛しの松永のいる風呂場に向かった。
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