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場末(2)
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「松永嫌じゃないん?」
松永の手引っ張って連中と距離作ってコソっと聞いた。
「売り専に行くこと?そんなことないよ。こういう機会じゃないと一生関わることもないだろうから」
「そういうの苦手やろーもん。」
潔癖なとこあるしそーいうの嫌やろってね。
松永が眉しかめた。
「長野言っとくけど」
あかん。おれ怒られるわ。そげな顔松永がそん時した。
「僕に幻想見過ぎ。長野は僕を高校の頃の姿のまま勘違いして見てるでしょ」
「へ?」
「まだしゃべったこともない当時の僕をいいようにその頃妄想してたんじゃないの?今もそれを僕に押しつけようとしてない?僕は長野とみんなが思う程純情でもない」
「かねー?」
「どちらかと言うと僕はそんなんじゃないよwwwwみんなよりも一番........いいや。みんなから離れちゃったね行こう」
先進むやつらと距離出来よった。
「体売る連中がおる所ぞ?」
「知ってるよ。だから?軽蔑することもないし尊敬する気もないけど他人だから」
確かに他人やけどなんだろなー。それって関わるとか接点なくてもいい部類なんやないん?別に知らんでもよかろーもん。
俺がんーなこと思っとったのが伝わったんかね?
「僕の人生にはその人たち関係ないし他人。でも彼らの話を聞くことは有意義なことになると思う。知りたい欲求を満たす為の被験体。そういうこと考えちゃう僕は冷めてると思う。友達になりたいとか全くないし関わりたいとも思わん。ただ知りたいだけそれ以外の感情も気持ちもない。今さっきの人たちもね」
今さっきって30代のゲイの連中か。
そう考えたら人間関係に対してドライなのかもしれんなぁ。俺とモリクミたちしか付き合いなくても平気みたいやし。そのモリクミたちすら離れてっても松永はショック受けん人間かもしれん。大学ん時.......留学して俺たち捨てたことあるしな。なんかそん時寂しくなった。
「そう言えば松永拒絶しとらんね?」
「え?」
「昔二丁目一緒来た時とか拒絶しまくりやったけんねー。それ考えたら成長してんなと」
「そんなことないよ。今は割り切ってるから」
「割り切ってる?」
「仕事だと思えば平気」
「そんなもんなのか」
「うん」
「松永君たち何してるの?追いてっちゃうよ」
足止めて話込んどったけん吉野たちが随分先に進んどった。
「行こう」
「行くんかい」
「僕は長野のこと好きだよ。好きになってくれてありがと」
「いきなりどうした?」
「そんな顔するけんよ。長野酔いすぎ」
「飲み過ぎた。どんな顔俺しとる?」
そん時俺情けない顔しとったんかなぁ
「さぁね。僕のおらんとこでもそげん飲んで酔ってエッチやりたいとか言いよるん?酔うとエッチエッチ言う。甘え出すけん。僕以外にそげん姿止めて欲しい」
「モリクミたちとお前がおらんとこではこげん酔わんよ」
「信じるよ」
「信じてくれていい!!もう酒で失敗せんし!!」
「その後は酔ってなくても相手と続いてたみたいだけどね。勘違いせんでね、怒ってないよ忘れてもあげないけど」
「うぐ........ごめん」
「また同じことあったら僕長野切るよ。覚えとって。僕は長野が思っとる程弱くない。昔の生活に戻るだけよ。やけん忘れんで。愛してるってこと」
「分かった。俺も愛しとるよ」
吉野たち早足で追いかけ始めた松永の背中ぼーっと見とった。
松永引っ張り上げて叩き落したの俺やね。松永にひどいことした。すまん。
松永の手握った。
「二丁目やけんよかろ?おかしくないし」
「そうやね」
吉野たちに追いついた。
「あ!!手つないでるっ!!」
「ここならおかしくなかろーもん」
「吉野っ!!俺たちも手つなごっ!!」
「恥ずかしいから嫌よ」
「どうしてっ!?」
吉野と奥田が喧嘩始めたの松永が笑って見とった。
「到着しました」
「ここ?」
「そうです。心の準備はよろしい?」
「そんなんせんでも大丈夫やしwwwwなぁ松永」
「うん」
扉開けて入るとゲイバーみたいなとこやった。
ボックス席に通された。客もちらほらおる。
俺らの席にマネージャーってやつが来て飲み物の注文取って気だるいママに熱心に話かけよった。
この人よく来てるんかい......
「週末でこんな時間だから売れ残りのボーイしかいないみたいです」
「そうなん?」
「ええ。この時間だと売れた子たちは仕事納めで帰ってるかまた一稼ぎするか迷うような時間だからお店に戻らずに帰宅してる子多いですよ。あとは泊まりで売れちゃった子もいるでしょうし。売れっ子たちはいないみたいだし。マネージャー?この方たちは私のお店のお客様ですよ。お連れしたの」
どうやら売り専のマネージャーが俺らが買われて連れて来られたボーイか一仕事終えて気だるいママと飲み歩いとるボーイと思うとったらしい。それが勘違いって店のボーイたちにも伝わったんか急にバリバリ視線が俺らに来た。
「おぃ。俺らにバリバリ視線来てねーか?」
「そうね......これ買ってくれって目で訴えてない?」
「あのっ!!ぶっちゃけていいですか!?彼らより俺たちがイケてますっ!?」
「でもママとマネージャーの人の話だとここで働いている人ノンケの人が多いみたいだけど......」
「松永君。ノンケでも若くてイケメンな人に買ってもらいたいもんじゃない?いつもジジィ相手してるんだろうし。僕も女性は無理だけどお金の為にやるってなったら若くて美人を相手したいとか思うだろうし。そんな心理なんじゃない?すごいあからさまな買ってくれ視線と笑顔ね」
「そんなもんのなの?ウウッ.......視線が痛い」
吉野と俺と奥田と松永でコソコソ話し始めたらマネージャーから声かけられた。
「誰か気に入った子がいたら言って下さいねー」
「あーはいはい」
「ところで皆さん社会人なのかしら?」
「そうっすよー」
「週末はお休み?平日の夜とかは暇な感じですか?」
「みんなそんな感じっすねー」
「体験入店でもいいので働いてみません?」
「は?」
「え?」
「!?」
「うっ!?」
ぶっちゃけ俺らの方が店にいたボーイたちよりイケメンやったって言うと俺感じ悪いな。でもほんとやけんしゃーない。ボーイのファイルも見せてもろたけど俺らの方がイケてたっつーか.......売り専のボーイってイケメンだらけかと思ったらそうでもなかった。なしてお前みたいなのが!?ってーのもいたけどやっぱ売れてないっぽい。
「僕たち社会人ですから無理です(オドオド)」
「社会人の方でも仕事帰りと週末にボーイしてるリーマンの方も多いですよ?」
「ええっ!?会社勤めの方ですよね!?会社の規定で副業禁止が大半なのでは!?」
「その辺りはばれないようにしてますしちゃんとしてますので安心して下さい」
おぃおぃおぃおぃ。そんなつもりの心配で松永が聞いてんじゃねーよ。
松永の質問が入る気があってもそれが心配で聞いてると勘違いしたマネージャーがバリ松永に説明しよった。普段スーツ着てる社会人のノンケもゲイのボーイも結構な数おるらしい。金の為にしてるんやろーけど。
「皆さんなら固定客付きますよ。売れっ子になれます」
「駄目よマネージャー。そういうつもりで皆さんをお連れしたんじゃないから。ちょっとボーイの子でも呼んで楽しく飲みたくて来たんだからやめて下さる?」
気だるいママがアウアウ始めた松永をかばってマネージャーにきつめに言いよった。
「吉野誰か気に入った子いたら席に呼んでお酒飲ませてあげましょ」
「タイプいないんですけどー」
「あらそうなの?」
カウンターから俺ら見てるボーイとボーイの写真とプロフが載っとるファイル見ながら吉野と気だるいママが誰呼ぶかで話始めた。
「この店の中ではあたしの中では奥田が一番イケてるわー」
「俺もっ!!吉野が一番イケてるっ!!」
「隣でいちゃつくな。きめーんだよ」
「長野がそんなこと言えるの!?長野の方が松永君にイチャイチャしてるじゃない」
「俺らは絵になるから」
「自分で言ってりゃ世話ないわ。松永君売り専の子に話聞きたいんでしょ?誰か席に呼んでみましょ。どれがいい?」
吉野と奥田と俺松永で人選始めて、気だるいママも誰呼ぼうか店の売り専見よった。
みんなで考えよる最中俺らが気だるいママの席についてるボーイと勘違いしたんやろね。俺ら指さして見よる客がおって後からマネージャーが言いよったけど俺たち指名されとったらしいwwww
アホか。客だっつーの。なんでおっさんのバリいやらしい視線で見られないかんのか。
俺らの人選は吉野の意見を取り入れた。
「あの子が一番性格よさそうじゃない?」
「そうなん?」
「きっとね。オカマの勘。松永君あれでいい?」
「あれって.........話聞きたいだけだから話してくれそうな人なら誰でも」
「ふーん。俺らより年下か」
俺ボーイのファイルでそいつのプロフ見ながら言いよったら
「いえ、あれはあたし達より年上じゃない?年齢ごまかしてると思うけど。老けてるし」
「そうなのかなっ!?」
「そうよ。奥田ちゃんと見なさいよ。肌質が違うじゃん。あたしたちよりくすんでる」
肌質とかくすんでるとかwwwwwお前はほんとオネェだなwwwww
二丁目ついてからオネェになっとるし。俺らも注意するのが面倒でほっといた。
気だるいママは別のやつ呼んでそいつの酒頼んでやって話始めたけん俺らもその「性格だけよさそうな」やつを席に呼んだ。
そいつの視線がさー俺らの持ち物にまず行ったんよね。ノンケの男やとあんまそういうのないんやけどゲイやとそういうのよくあるんよ。「その時計いいね」とか靴チラッて見たりとか。そいつノンケって言いよったけどそういうとこ見るのってゲイっぽいってか、そげん風に見るのってやっぱ売り専やけん金持ってるかどうか見定めてしまうところがあるんかなーって思った。
奥田は気付いてないっぽいけど吉野と松永と視線が合った。
吉野と松永もそげんところに気付いたみたいやね。
吉野がすんげー嫌そうな顔しとった。「あーやだやだ」って言葉出て来そうなのを我慢しとる感じ。
んで俺と松永と目が合って「ごめん♪こいつ性格悪いかも♪あたしのオカマの勘間違えたかも(≧ω・)テヘペロ」っ
て顔しやがった。
吉野てんめぇ......お前の勘当たってないやんけ!!と思ったけど席について話してみるとそげんこともなく松永の質問にはちゃんと答えとった。
ほとんど松永が質問してそれに答えてもらう感じで俺らはただ聞いて酒飲んどるだけやけどそいつ俺らに買ってもらいたいのか遠回しに買われたいなーってこと言葉と態度に出しとった。
「今日は誰にも指名もらってないんです?」
「そうなんですぅ」
「嘘おっしゃい。あんた今日売れたんじゃないの?」
松永と売り専が徹子の部屋みたいに話しよる横から気だるいママが口出した。
「そんなことないですよぉー。だからぁー皆さんと外に遊びに行きたいなぁ」
「2、3人は指名取れたんじゃないの?電車ないから始発前にもう一人位捕まえておきたいなー位で店にいるだけでしょ?」
「ママひどいなぁ。本当に売れてないんですよぉ」
売れてても売れてないって言うのが常套なんやろーね。ママの「嘘こけ」攻撃にもめげずにニコニコ笑って答えとったけど俺らもその様子見て「あ、こいつそうなんやね」って気付いとったけどね。
店のマネージャーが助け舟出して「本当に誰からも指名もらってないんですよ。助けてあげて下さい」言いよったけど店にも金入るけんそりゃ必死になるわな。体買わんか?っちゅー話やけどそれやなかったら仕事の営業風景みたいなやりとりやな。どーせそいつが飲んだお酒と席についた時の指名料が少しは懐に入っとるけんいいやろ。それに俺ら買わんし。
松永も聞くネタも尽きて満足したけん興味なくなったっぽい。拒絶を始めよった。
ボーイたちの視線と「買ってくれ」攻撃に辛くなったんやろう。
気だるいママとはそこで別れて俺らは店出た。
「なんしよっか」
「どこかで飲み直す?」
「嫌だっ!!他の店には行きたくありませんっ!!」
「じゃあどうするの!?始発まであと3時間程ありますけど!?4人なら奥田が心配するようなことないって」
「嫌ですっ!!」
売り専の店出たのが3時位やったかな?俺と松永の乗る電車の始発もまだ時間がある。
奥田が他の店に行くのは嫌って拒否る。この時間帯やといい感じに酔ったゲイがからんで来るかもしらんからかね。実際はそげん酔ってなくて酔ったふりしてセクハラまがいのこととか下ネタ振ってくるやつもおるけんそれが嫌なんやろう。俺も嫌やった。
「じゃあここで別れましょ」
「別れてどうするん?」
「あたしと奥田は二人でどっか行くわ」
「どこに行くの?」
「ホテルでも行こうかな」
「おぃ........」
「そういうことなのでっ!!長野さん松永さんまたですっ!!」
手つないで吉野と奥田がどっか行った。あいつら...........
仲通りで俺らぽつーん。
「朝まで一緒遊ぼう言ったあいつらが俺ら見捨てるとか.....今度モリクミも呼んであいつらをぼてくらす(ボコボコにする)か」
「僕たちどうするの?」
「どうしよっか?どっかぶらつくか」
「いいよ。ホテルで。行きたいんやろ」
「へ?嫌なんやろ。無理せんでいいよ」
「二人で話がしたい」
なんか松永が思い詰めた顔しとる。
「分かった。エッチせんでいいけん。どうした?」
「どうもしてないよ。疲れた」
知らんやつと目いっぱいしゃべってたのと視線に疲れてたんやろう。
話がしたいって思い詰めた顔しとったけんなんか俺がやらかしたか、なんか松永にあったんかね?と思ってえらい大事なことが起きてるんやないーん!?って俺びびってた。
ホテルついて部屋についたら松永無口になってなんもしゃべらん。
「話あるんやろ?どした?」
「なんでもないよ」
「なんでもないわけなかろーもん。何?俺になんか言いたいことあるんやろ?」
「いいよもう」
「よくねーっての。言えって。俺言われんと分からんって前にも言ったやろ。思ってることとか言いたいこと言えって」
なかなか言わねえ........ベッドに並んで腰かけてうつむいとる松永の顔のぞきこんだり肩に手回したり背中さするんやけど今回なかなかしゃべってくれん。
「分からなくなった」
「なんが?」
「これでいいのか」
「どういうこと?」
「仕事変わって前みたいに仕事が忙しくなくなって残業も出張もなくなって家に早く帰れるようになった」
「よかったやん。前体調も壊しがちやったんやけん」
「長野の帰り待ってる時間が長くて嫌だ」
「うぉ?」
定時上がりになって家で一人でおるのが嫌なんやと。いろいろ考えてしまうらしい。
「長野帰って来るの遅いし飲み会もあるし。酔ったら長野今日みたいにエッチやりたいとか甘え出す酒癖やけん。僕以外の人にもそげんしてるんやないかって」
「やけん言ったやろ?お前ら以外の人間の前じゃあげん酔わんって」
「酔って帰って来た時同僚の人が送って来たことあるやん」
「それは........いやーあのーすまん」
「僕に飽きたんやないと?」
「なんでって!?んーなことあるわけないやん!!なんでそげんこと思った!?」
「吉野君が言いよった。エッチエッチ言われとってもそげんしてたら飽きられるよって。そげんもんやけんって。長野も松永君に飽きちゃうんやない?って」
あいつぅうううううううう!!
松永定時上がりで家に一人でおる時吉野になんか相談とかしよったらしい。
あいつ一回〆ないかん。
「もしかして松永お前......やけんたまに俺の誘い断ってたん?吉野になんか入れ知恵されたん?」
「..........」
あいつかぁああああ!!俺がエッチしよう言って2,3回に一度の割合で松永に理由なく断られよった。
「なんで俺に言わんとって。吉野なんかに相談せんで俺に言えばいいやん」
「言えん」
「なんで?」
「ほんとに長野がそうやったらどうしようかって」
「お前ほんとバカやね」
抱き締めたんやけどこんだけ抱き締めてもまだ足りんのかねー。
「僕たち後数年で30歳になるよ。このまま続いてるのか分からんくなった。怖くなった」
「続いとるよ。なんで不安なら言わんとって。俺にぶつけりーよ」
新しい会社でも俺と同居してることとか(従兄弟って言ってるらしいけど)詮索されて言われとったのも、吉野はそんな気じゃなかったにしろ松永の不安煽るようなこと言ったけん松永がそれ考える時間がたくさん出来た今になって苦しくなって来たっぽい。
前書いたけど松永の母ちゃんが死んだ季節が近づいたこともそれに拍車かけたんやろーね。この話は屋形船もんじゃのもっと前の話なんやけど。
この時には松永がどん底に落ち始める兆候が出始めてたのかもしらんなぁ。
松永が体調崩して一難去ってまた一難。俺も松永のそばにおるようにしたんやけど言葉で言ったりせな分からんことあるよね。
「これなん?」
二人の胸にかけられてるペンダント手で取る。
「長野が初めてのクリスマスプレゼントでくれたペンダント。」
「そうそう。俺からのプレゼント。二つひっつけるとほら。ハートマークのベタなやつ。んでこれは?」
俺の左手で松永の左手とって俺らの顔の前に出す。薬指に指輪が両方つけとる。
「二人で選んだ指輪」
「そうそう。結婚式でつけた指輪」
プライベートではラタンで作られた小箱から取り出して身につけてるんやけどね。
「なんで悩むとって。なんも悩むことない。愛してる。昔っから愛してる。今日おかしかったのそのせい?」
売り専行く途中で「好きになってありがと」とか言いだしたりなんか松永おかしくね?とは思ったけど。
「最近そげんことばかり考えとった?」
「うん」
「バカやなぁ」
「もう一人になりたくない」
最近夢見てしまうんやと。松永の母ちゃんと一緒に離れで生活してる夢ばかり見るらしい。
「昔はっ!!一人の時はこんな夢見たこともなかったのに!!今頃になって夢見る!!お母さん死んでから長野に会うまでこんな夢見なかったのに!!」
松永が声荒げた。
泣いてるんか?顔上げてくれん。
「どうしたんやろな。安心しぃー。一人ならんって。俺おるやん」
「分からん!!先のことは誰にも分からん!!」
「俺分かる」
きっとさー。小さい頃の松永生きるのに必死やったけんそげんこと考える暇なかったんやないかねーって。
俺とのことも仕事が忙しかったけんそこまで思い詰めてる暇もなかったんやろーけど、仕事変わって家に一人の時間が増えて考える時間も出来ちまったせいでなーんかいろいろ考えてしまったんやろう?
「ずっと一緒に生きとるよ」
そん時位かな?親にカミングアウトしようって考え出したの。
まだ姉貴が来る前やね。屋形船の時の「親に俺たちのこと言ったりまーす」宣言とかする前。
そん時にはもう考えてたんよ。
家族なったって言葉で言ってもまだそげん怖がってんならもー言っちまって周り固めたるかって。
モリクミたちは友達やけん出来んことやね。
俺のほんとの家族に松永も家族として認めてもらえばいいやんってーいう。
松永の文章の子供の話もそーやけど街でも子供見ると松永目で追うんよね。自分と重ねてしまうんやないかなぁ。俺と会う前は一人で寝起きして飯作って風呂入れて。松永の母ちゃんが目が見えんやったけんテレビあったけど全然見らんでラジオよく聞いとったり点字図書のCD二人で聞いたりとかやってたんやて。
あんまりその頃のこと話してくれんけど辛かったやろうと思う。近所の目も学校でもなんか言われとったり軽いイジメもあったっぽいし。お金降ろすのも学校あるけん降ろす時に多めに降ろす時はドキドキいつもしてた、とか。スーパーも安売りの時は走って帰ってから行かんと卵と牛乳売りきれるとか。スーパー行くんも小さい頃は荷物重いけん一度に買えんで何度も往復したことあるとか笑って話したことあったけどそういう話聞くと聞いてる俺が悲しくなった。
笑い話じゃねー。松永麻痺しとる。
それが松永のふつーやったんやろねって思ったらなんか悲しいし幸せにしてやりたいって俺は思ってたんやけど俺との生活長いこと知って丁度体壊したり、仕事変わったりが松永にはあって昔のこと思い出してしまったんかねーと思った。
松永のふつーがおかしいことに気付いてしまって自信も何もなくなったんかな、って。
松永の考えてることが周囲とずれてると思ったのかもしれん。自信がもてなくなって俺の気持ちがほんとか嘘か分からなくなって不安になったんやろか。
だから他の人間からいろいろ聞いてみたくなったんやろか。他人と関わるのがそげん好きじゃない松永なのにゲイのやつらの話聞いてみたくなったんやろか。みんなどんなこと考えて生きているんか、とか。
俺との生活これからどうなるんか誰かの話から何か見つかるんやないかって。
「エッチせんでいいけんこうしてよ」
松永抱き締めて背中さすってやった。
すまんね、浮気せんかったら今こげん苦しんでなかったかもしれん。一回そげんこともあったけん疑いの気持ちもあるんやろうと思う。全部俺のせい。こげん不安にさせたのは俺のせい。飲み会で遅くなるって言って酔っぱらって同僚に肩借りて帰って来たり写メとラインで飲み会で楽しそうに飲んでる姿送ってる時松永家に一人やったんやなあと思った。
「ごめんね松永。寂しかったんやろ」
「んーなわけない」
へ?
「長野がなんでそげん悪びれた顔するん?僕の問題であって長野は関係ないし」
ガビーン。俺のセンチメタルなこの気持ちをお前というやつは.......バリ強ぇぇえ
「自分のことは自分で解決出来る。長野が僕に飽きたとかじゃないならそれでよし」
「お.おぅ」
今さっきまでの弱そうなかわいいお前はどこ行った。
コンビニで買ったミルクティがぶがぶ飲み始めたけど今さっきのお前は一体......
でもそうじゃないやろ?強がりなんやないん?このツンデレめ。デレてからツンるな。逆やろーが。それはデレツンだ。って松永には分からんか。
「眠い。寝る」
「え”え”え”ヴェ”!?」
即効ベッドに横になって寝やがった。疲れたけん眠いんやろーけど俺置いてきぼりかよ。
寝るのお前ほんと好きやろ?
寝てるか本読んでる時が一番楽しそうなのはどういうことなんやろか....
「エッチせんって言ったけどさぁ。したかったんやけどなぁ」
「うーん」
俺が寝てる松永の顔ナデナデしよる手払いのけやがるwwwww
「夢ん中で母ちゃん以外に俺もそこにおったらいいんやけどなぁ」
幸せそうな顔して寝とる松永みてたら安心した。少しは落ち着いたか安心したんやろか。
「お前のペンダントとな、俺のペンダント合わせるとハートになるとって。ハハハハハハハハハハ」
俺一人寂しく松永のペンダントと俺のペンダント合わせて遊びよった。
吉野お前は絶対ぬっ○す思いながらね
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