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「ごめん…。」
途端にしょんぼりするヒビキに、俺は慌てふためく。
「いや、文句なしだ。目覚めてすぐ朝飯が食えるとは思ってなかった。」
俺の一言にヒビキは気分をよくし、スキップで近くにやって来る。有頂天の幼馴染を見て、微笑ましい気持ちに浸りつつ、俺はそれにしても、と続ける。
「玄関で…その、お前よくあそこで止められたな。」
無理矢理襲いかかってこなくて俺は助かったが、ヒビキがあの時点で思いとどまった理由がいまいちよくわからない。きちんとした弁明は一つもしなかったはずだ。
「たっちゃんの剣幕で、たっちゃんの話が嘘か本当かくらいはわかるよ。」
ヒビキは俺の正面に座ると、卓上に腕を組んで、その上に顎を乗っけると心底楽しげに満面の笑みをみせた。
「逆ギレされるとは思ってなかったけど。」
「…悪かったな。」
口をもごもごさせていると、ねぇとヒビキが先を促してくる。
「昨夜は一体何があったの??オレ、知りたい。」
値打ちある芸術品を鑑賞するかの如く、興味深そうな視線を向けられて、俺もまんざらではない。
「…わかった、わかった。しゃーねぇから喋ってやるよ。あのな…。」
どこかむず痒い心地で口を開きつつも、俺は不思議とさっぱりとした気分になっていた。
ヒビキは俺の意見も聞かずに無理矢理気持ちを押し付けてくる奴ではない、とわかった。それだけのことで、俺は弾んだ笑い声をたてたくなっていた。
夜。二人ともがダブルベッドに入った時点で、俺は違和感に気づいた。
ヒビキがバックハグしてこようとしないのだ。それどころか一定の距離をとって、何か思い悩んでいるらしい。
「…ヒビキ。あのさ。」
「もう、たっちゃんには触らない。」
言葉を遮るようにして、ヒビキにしては珍しいガンとした態度を見せる。
「身体抜きでも、オレは全然かまわないんだ。…たっちゃんがオレのそばにいてくれるなら、オレ、何でもやるし。だから…。」
俺は問答無用に奴のパジャマの襟首を掴み上げ、一気に引き寄せて距離を詰める。目を白黒させている幼馴染を睨みつけてやる。
「…触らない、とか言うな。」
緊張で細かく震える手を叱咤しながら、もどかしい手つきでどうにか胸襟のボタンを外す。一つ、二つ…。三つ目を開けて襟ぐりを大きく開け放ったところで、再び奴に目を戻す。
「お前がそんな弱気なこと抜かすんなら、俺が触りたくなるようにしてやる。」
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