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ぼふぅっとみるみる内に赤面してしまう。半ば反射で、熱を放つ両頬に手を添える。
どうしよう…。えっ。本当に…??俺はちょっとばかりセクシーになったのだろうか。…胸も出てないし、お尻のサイズにも劇的な変化はないはずだが。
停電に落雷ととんだハプニングに見舞われた女性店員達の悲鳴は賑やかだった。…おかげで、棗君とは…ええい、もう呼び捨てじゃ、あの野郎。…棗とはそれ以降、顔を合わさずに済んだ。…が、俺の問題は終結したわけではなく新たに発生したに過ぎない、のである…。
その後、棗は何度となく俺に接触を図ったが、今まで社会で身に着けたスキルで、できうる限り二人っきりという状態を避けた。棗は不服そうだったが、俺はそれどころではない。年下の先輩バイトには悪いとは思うが、俺が避けているのはむしろ彼ではなく、背後に仁王立ちで待ち構えている幼馴染のお仕置きという恐怖なのだ。
何度も言うけど、泣きつくヒビキというのはどうしようもないけれど、いやだからこそなのか。まだ愛嬌がある。泣いて縋られたら、人間悪い気にならないもんだ。
だが、行き過ぎた愛情故、ドSの鬼の権化みたいなのが現れたら、そらもう困る。幼馴染の行き過ぎた嫉妬は、竹倉先輩朝帰り騒動で証明されたようなもんだ。
バイトのないある日。目が覚めると、やはりヒビキに背後から抱きすくめられた形で起きる。…もうすっかり慣れてしまった。人としてどうか、と自分を疑いたくなる時もあるが、相手が必要としている証なのだと一度でも受け入れてしまったら、以降悪い気はしなくなるのだった。
もぞもぞと起きだそうとした、刹那。凄い力で布団の中に引き戻される。俺自身の脇腹からにゅっと突き出た手が、腹部でがっしりと繋がれる。相手は想像の通り。困った幼馴染だ。
「…たっちゃん、出ちゃダメ。もうちょっとここにいてよ。」
寝起きなのだろう。舌ったらずの声色は、普段から垂れ流している幼い雰囲気にさらに拍車がかかる。
「…放せ。朝飯作るっつってんだろ。」
実力行使。頬とわかる部分を手で強めに押して、やめるように言外でも伝える。が、固定された腕に変化はない。
「うう~…。」
幼馴染はというと、聞いたものが顔を顰めそうな、見るからに悲しげな唸り声をあげる。…やめろ。捨てられた犬が通りすがりのちょっと頭撫でてくれた人に『どこかに行っちゃうの??』と引き留める時のような唸り声を出すんじゃない。
「…ったく。」
憎まれ口を叩きつつ、幼馴染の胸にこてんと頭を預けてやる。…本当、世話のかかる幼馴染に恵まれたものだ。
「…今日も、バイトあるの??」
俺の項に額を擦り付けて、頭ごとグリグリ左右に振り回しながら幼馴染が訊いてくる。俺は肩を小さく上下させてから、答える。
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