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はっきりと言われ、胸が騒めく。…躊躇いなく言える姿勢が凄い。凄くこっちが恥ずかしい。
「…しょうがねぇなぁ。」
寝返りを打って、正面からヒビキを見る。薄暗い中、段々と目が慣れていく。やっぱりヒビキは、穏やかな表情をしていた。心から、信頼できる人をやっと見つけたかのような、安らかな顔。
「…かわいいね、たっちゃん。」
真っ向から抱きしめられて、唇を奪われる。やんわりとしたキス。目を眇める。鼓動が波立つ。…胸の奥が、きゅうっと絞られて、苦しい。
何度やっても、ハグやキスには慣れない。触れられると、撫でられた箇所が妙に疼いて仕方ない。身体が信じられないほど熱くなって、意識がぼうっとする。どう振舞うべきなのか、普段なら簡単にわかるはずの物事が嚥下できなくなる。…呼吸の仕方すら、今はもうわからない。
でも…、と俺はそろりと目を伏せた。全身が求めている言葉だけは、心がしっかりとわかっている。
「…好きって言って、ヒビキ。」
「たっちゃ…??」
急に相手から言葉が貰えなかったら、という思いが胸をよぎり、俺は咄嗟に服の裾をぐっと握りしめた。力み過ぎて、拳がぶるぶると震えだす。溢れ出した感情に、制御不能になったかの如く。
「…俺、お前の“好き”がもっと欲しい。」
「…たっちゃん。」
ヒビキの手が俺の眼前に伸びてきて、柔らかく視界に邪魔な髪をかき上げ、耳にかけてくれる。俺の耳朶に幼馴染の繊細な指先が掠めただけで、まるで全身に電気が流されたみたいに、肩が大仰に震えた。
俺の耳元に、ヒビキが屈んで中毒を起こしそうな掠れ声で、欲しくて欲しくて仕方なかった台詞を囁く。
「…たっちゃん、好きだよ。」
一時期は片方の見事な見切り発車ではあったものの、今はこうして両想いになって、毎夜ありったけの思いを囁かれる。
贅沢な夜なのに、どこか満たされない。
押し潰されそうなほど掻き抱かれて、窒息しそうなほど口づけて、深く深く誰よりも繋がったところで、俺の思いが満たされることは二度とないのだろう。
こんな、今にも胸が張り裂けてしまいそうな思いを、繋がりを…人は恋と呼ぶのだろう。
「好きだよ、大好きだからね、たっちゃん。」
「ヒビキ、もっと言って。もっと…欲しい。」
「好きだよ、大好き。ずっと…いつまでも好きだからね、たっちゃん。」
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