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「…………俺の子産んで」
ぶふっと權さんは噴き出して、俺を軽く殴った。
「……さっきの続き?」
「もう出そうなんです」
「……いいよ。中に出して」
「産んでくれる?」
「養育費宜しく」
「うん。…………………うん? なんで一人で育てる前提なんだよ」
「え? あ……そういやそうだね」
「酷い」
「いや、こういうのってそうじゃん」
「俺の子かわかんねーって?」
「そうそう。認知してよ」
「どうせ他の奴との子だろ」
「他の人とこんなことしない……」
「……………」
「……………え、そこ黙る?」
「や、なんか、リアルだなあ」
「実際、君としか、こんなことしないからねぇ……」
また仰向けでベッドに寝かせて、姿勢を楽にさせる。
「最後にしたの、いつ?」
「君の前に?……………覚えてない。……今、他の人の話なんかするなよ」
「ごめん」
「ムードないなあ……」
「あんたに言われたくねーよ」
「あは、確かに。…………もう女とする感覚なんてわかんない……」
「俺も」
「……………」
「……………」
「……………」
「……………」
何かを誤魔化すような口づけだった。權さんからしてくれたこと、それ自体は純粋に、嬉しかったけど。
じゃあ、付き合ってよ。
何度も飲み込んだ言葉。俺のものになればいい。実際、今はそうなんだし。………………あんたが他の人を、想っていさえしなければ。
「…………宇多島くん」
「なんすか」
「……………………」
言うのをためらって、權さんはまた俺にキスをする。控えめな微笑み。…………この人も容易に言い出せないものを抱えている。俺に対して?
確かめるのが怖くて、気付かないふりをした。
「ん………っ、あっ………」
行為を再開すれば、あとは簡単で。
見えないふりなんて幾らでも出来た。
もう、こういうこと嫌だ、とか。
そう言われたら、俺はどうすればいい。
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