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〜空夜side〜
女子3人はまだ中華街を見たいというので、先に4人だけで山下公園にやってきた。
東京湾に面した公園で、近くには日本郵船氷川丸がある。
少し日が傾き始め、公園には数組のカップルがいた。
「楽しかったなぁ。」
「そうだね。」
あれから他のお店も食べ歩き、空夜以外の3人の土産を購入したり気になった店を見回ったりした。
空夜と京は公園のベンチに腰掛けてそれらの店の話をする。
あれが良かっただの、あれはまた食べたいだの、そんなことを話していると宏樹と俊哉が飲み物を持って戻ってきた。
「はい、2人とも。」
「ありがとう、星谷くん。」
「ありがとう。」
「お金いらないからな。」
財布を出そうとした空夜たちに、すかさず俊哉がそう言った。
「うんうん、俺たちが勝手に買ってきただけだからね。」
渡そうとしてもお金を受け取ってくれないので、諦めてありがたくいただいた。
「……京、ちょっと話したいことあるんだけど。」
「ん?何?」
「……2人で、いい?」
「えっ、うん、いいけど……」
チラ、とこちらを見る京に、空夜は頷いた。
「気にしないで行っておいで。」
「俺ら待ってるし。」
「じゃあ、あっちで話そうか。」
「うん、ありがと京。2人もありがとう。」
宏樹と京が少し離れた場所に歩いていく。
姿は見えるが、喋っている内容は全くわからなかった。
「……空夜。」
「ん?」
「今日、楽しかった?4人で行動してて。」
「え?うん。すごく楽しかったよ。どうかしたの?」
「いや……」
視線を逸らして口ごもる俊哉の表情はよく見えない。
「俊哉くんは楽しくなかった?」
「いやいや!めちゃくちゃ楽しかったよ。」
それならどうしたんだろうと思っていると、俊哉が真剣な顔でこちらを向いた。
「あの、さ。今度、遊びに行かね?」
「遊びに?」
(4人でってことかな?)
「いいけど、予定合うかな……?サッカー部も結構忙しいよね。」
「まあ、そうだけど……最初は部活終わってからご飯だけとか……で、休みがあったら、ちょっと遊びに行くみたいな?」
「うん、いいよ。」
「マジでいいの?」
「うん、2人もいいって言ったら。」
「2人?」
「え、うん。4人で出かけるってことでしょ?あの2人にも聞かないとだよね。」
「……あー……うん。」
空夜が宏樹たちに視線をやると、俊哉の歯切れが悪くなる。
「でも、どうしたの急に。4人で出かけるなんて。3人は去年も同じクラスだったし、宏樹くんと俊哉くんは仲良いみたいだからわかるけど。俺いる?」
「いやっ、それは……」
言葉を選んでいる様子の俊哉が口を開くのを待つ。
「……宏樹、が。」
「宏樹くん?」
「そう、あいつ、京のこと、好きなんだよ。」
「えっ?!そうなの?!」
「シーッ!声でけぇって。」
「あっ、ごめん!」
慌てて口を塞いで宏樹たちの方を見るが、特にこちらを気にしている様子はない。
「……そ、それで?」
「京は、あんま、こう、鋭くないからさ。2人きりのデートに誘うのはハードル高いって、宏樹が言ってて。」
「あっ、それで俺たちも入れて、4人でってこと?確かに3人だと、俊哉くんの話し相手いなくなっちゃうもんね。」
「まあ、そんな感じ。」
そういうことなら納得だし、空夜も協力してあげたい。
京に告白するタイミングを探しているのだとしたら、それは手伝ってあげたかった。
「京がどう答えるかとかは、2人の問題だけどさ。俺もできることは、やってあげたくて。」
「うん、同感だよ。俊哉くんはやっぱり優しいね。」
「え?いや……そんなことは、ない。」
謙遜しているのだろうが、友人の恋愛に協力してあげるなんて、とても優しい。
空夜の中で、俊哉のイメージが少し変わった。
「じゃあ、2人が戻ってきたら話してみよっか。」
「いやいや!俺が宏樹に言っとくから。京にはまだ、黙っときたいというか。宏樹のタイミングで誘わせたいからさ。」
「そっか!気が利かなくてごめんね。わかった、じゃあそのことは任せるね。」
「おー……てことで、連絡用に、俺たちLINE交換しね?」
「うん、いいよ。部活の休みとかも合わせたいもんね。」
「そーそー……」
「えっと……はい、これ。」
「サンキュ。俺、トシってやつ。」
「ん、これかな。OK!登録できたよ。」
「おー、じゃあいろいろ連絡する時はよろしくな。宏樹のことは、京には言わないでおいて。」
「うん、わかった。」
空夜は友人が幸せそうに恋愛しているのを見るのが結構好きだ。
だから今回もワクワクしてきた。
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