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~空夜side~
「はー、熱くなっちゃったね。」
「ほんとほんと。」
2人ずつ行うVRの射撃ゲーム。
京と空夜が先に行い、これから宏樹と俊哉がやる。
少し離れたところで2人で座り、宏樹と俊哉の様子を眺めることにした。
「……ねえ京くん。」
「うん?」
「さっきの話なんだけど……」
そこで亜美香との話を聞き出そうと話を振る。
「あぁ……えっと、誰にも言わないでほしいんだけど……」
「うん。」
京はひとつ深呼吸して、意を決したように口を開く。
「昴流くんのこと、好きかもしれなくて……」
「……うん???」
2人はそんなに仲が良かっただろうか。
というか昴流と京が2人きりでいるところを見たことがない。
確かに、夏休みに入る前に前より仲良くなったなとは思った。
しかし恋愛感情を抱くほどの関わりはあっただろうか。一目惚れというわけではないだろう。
(てか京くんは好きってよく分からないって言ってなかったか?!)
「それで、鳥谷さんも昴流くんが好きだから……」
「待って待って、それは俺に言って平気なやつ?」
「あっ、うん。鳥谷さんと話して、お互い1人には相談していいよねってことになったから……空夜くんが黙っててくれれば大丈夫だよ。」
(え、ええー……鳥谷さんともそんなに仲良くなってんの……?どういうこと?全然話わかんない。)
「……なんで、鳥谷さんとそういう話になったの?ていうか昴流のことはいつから好きなの?」
(……待てよ、昴流のことを好きってことは、宏樹くんは……?えっ、このデートの後に告白とかしたりするの?)
宏樹が京と距離を縮めるための今日だ。
完全に意味をなさなくなっている。
「いつからって言われると……いつからなんだろう……俺も正直、気持ちに自信がなくて、鳥谷さんと話してたら、それは好きなんじゃないって言われただけだから……」
「な、なるほど……」
「鳥谷さんは、昴流くんが選ぶことだから、お互い恨みっこなしって言ってて、だから普通に仲良くしてる、と思うんだけど……」
(なるほど、それで多分って言ってたのか。)
「昴流くんとLINEしてたときに、鳥谷さんに好きなのって聞かれて……そこから話の流れでそういう話になったんだ。」
「へ、へぇ……1人には相談していいってことだったけど、それは俺でよかったの?」
「あ、うん。空夜くんは口堅そうだし、昴流くんとも仲良いし……鳥谷さんの相談相手にはならなさそうだしね。」
確かに相談相手が被るのはまずい。
「もっと詳しく聞きたいけど……もうそろそろ2人のゲーム終わるよね。」
5分程で終わるゲームだ。そろそろ戻ってくる。
「俺も、少し話したいな……ごめんね、勝手に巻き込んで。」
「いやいや、それは構わないよ。……なんなら俺も話聞いてもらいたかも。」
「空夜くんも?」
「あー、うん、まあこの話はゆっくりね。今夜って早く帰らないとまずい?」
「ううん、父さんに連絡すれば大丈夫だと思う。」
「じゃあ、俺の家来ない?少し話そうよ。」
「うん……!1人で考えててもよくわからなくて、自分の気持ちもよくわからなくなっちゃってたから……すごく助かるよ。」
ちょうどいい。
空夜も航のことについて客観的な意見が欲しいところだった。
昴流はなんだかんだで優しいし空夜を贔屓していると思う。
恋は航をあまり知らないし、空夜に不都合になりそうなことは黙っているだろう。
「2人ともお待たせー!」
俊哉と宏樹が戻ってきたので、ひとまず話は終わった。
「結構熱くなっちゃうね。」
「だよね。俺たちも盛り上がっちゃったよ。」
宏樹と京が仲良さそうに話しているのを見るのは複雑な気持ちだが、京の心は京のものだ。
「空夜も楽しかった?」
「えっ?うん、もちろん。俺結構ゲームも好きだし、楽しかったよ。」
「そっか。」
俊哉が微笑む。
その表情が思ったよりも柔らかくて驚いた。
(こんなに優しい顔もするんだ。)
クールで、感情が表に出にくい印象がある。
笑っているところを見る機会は4月に比べれば増えたと思うが、それでも少ない。
「どうかした?」
じっと見つめてしまったからか、俊哉が少し戸惑いを見せる。
「あっごめん!なんでもないよ。」
「としー、くーちゃん、次これやらね?今京と話してて……」
パンフレットを見せながら宏樹が話しかけてきたので振り返る。
まさか、俊哉が向けている顔は空夜にだけだというのを、空夜は思いもしていなかった。
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