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~恋side~
8月21日
「よかった、間に合った……ごめんねよるちゃん、バタバタしちゃって。」
「いえっ!大丈夫です。」
今日は約束通り、昼頃から小雪たちが来ることになっている。
しかし昼食の材料が足りず、慌てて買い物に出たのだ。
春陽に瑠梨を任せ、よると2人で出かけたのだが、時間がギリギリでよるを少し走らせることになってしまった。
「サンダルで大変だったでしょ。」
「これとっても歩きやすくて……ヒールなのに、少しなら走っても平気です。」
そう言って脱いだサンダルを見るよるは嬉しそうだった。
ショッピングモールに行った時に春陽がこっそり買っていたようで、先日よるにプレゼントしていた。
可愛らしいサンダルはよるによく似合っている。
「気に入ったみたいだね。」
「……はい、すごく。」
最初は申し訳なさそうにしていたが、どうやら欲しかったものらしい。
「お昼ご飯作りますよね。手伝います。」
「ありがとう。」
手早く料理を済ませ、春陽と瑠梨が下に降りてきた頃、玄関のチャイムがなった。
「れーんーさーん!」
扉を開けるなりぎゅむ、と抱きついてきたのは小雪の愛娘、雪愛だ。
「久しぶりだね。」
「はー、恋さんほんと癒し……」
「こーら、離れなさい。」
小雪にべりっと引き剥がされた雪愛は不満そうだ。
「楓と茉衣ちゃんもいらっしゃい。」
「お邪魔します。」
「恋、これ洸ちゃんからだよ。」
「わ、ありがとう!助かるよー。」
楓がくれたのは洸大の店のランチで出しているハンバーグのタネだ。
「これお代ね。」
定期的に数キロで購入していて、冷凍保存したりしながら夕食のおかずに使っている。
「さ、どうぞどうぞ。」
皆を中に入れて、昼食をとる。
食べている間によると雪愛、茉衣は仲良くなったようで食事が終わったときには連絡先交換をしていた。
(よかった。やっぱり同年代の同性だと話しやすいことあるよね。)
恋は2人と話すよるの姿を見て少し安心していた。
「よるー、ちょっといい?麗亜さんから連絡きた。」
「はいっ、今行きます。」
春陽とよるが書斎に消える。
「あの2人って付き合ってるの?」
そう尋ねてきたのは小雪だった。
「あれ、でも春陽くんって……」
楓が口を開いたその時。
ピンポーンとチャイムの音。
「恋さん他の人も呼んだ?」
「いえ……今日は2人だけだし、宅配も頼んでないんですけど……」
「なんかの勧誘かな?」
立ち上がり、モニターを見る。
勧誘のような気配もないし、見覚えのない男性だ。
「うーん……」
どうしようかと悩んでいると再びチャイム。
ここで春陽が部屋をでてきた。
「変な人?」
恋が出ないので不思議に思って来てくれたようだ。
その後ろからよるも顔を出した。
「俺出ようか。」
春陽はモニターを見ずに玄関に向かう。
ガチャとドアが開けられた音がして、恋も玄関に向かった。
「春陽?!」
「娘を返せ!」
「ちょっ、どなたですか?!」
突き飛ばされたらしい春陽と、興奮状態の男性。
恋が止めようとするが男性は無理やり家に上がる。
「母さんっ、あいつよるの父親だ!」
春陽はうちつけたところを押さえながらそう言う。
恋は慌てて男性の後をおった。
「よる、帰ろう。」
小雪がよるの前に入ってくれていて、楓が瑠梨を抱き上げて部屋を出ていってくれた。
よるは何も言わずに1歩後ずさった。
「よる、私が『正しい道』を示してあげているのに……なぜお前は逃げるんだ。」
様子のおかしい男性に、恋も迂闊に近づけない。
雪愛や茉衣もいるのだ、怪我をさせたくない。
「よる、お前は『正しく』生きるんだよ、帰っておいで。」
男性はジリジリと距離を詰めていく。
しかし小雪はよるの前をどかない。
「お前はなんなんだ!娘から離れろ!」
「嫌だよ!急に他人の家に上がり込んできた不審者に女の子を渡すわけないでしょ!」
「娘だと言ってるだろう!お前らが勝手に娘を攫ったんだ!警察に言うぞ!さぁ、帰るんだよる!」
まだ庇う小雪から無理やりよるを奪おうとする男性。
(まずい……!)
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