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~昴流side~
9月28日
(やべぇ、早く着きすぎたかも。)
スマホで時間をチェックしたが、15分前だった。
さすがに早すぎて誰も来ていない。
バイブが震え、確認するとグループに京からのメッセージ。
もうすぐ着けど、誰かいるかという内容だった。
すばる「俺もうついてる」
すぐにそう返事をする。
すると電話がかかってきた。
「もしもし。」
『もしもし?今どのあたりにいる?』
「あー、えっと駅前のカフェわかる?その辺にいる。」
『あ、わかった。グレーのパーカー着てるよね?』
「うん、え、どこ?」
きょろきょろとあたりを見回すが京は見つからない。
「昴流くん。」
とんとん、と後ろから肩をたたかれて振り返ると京がニコニコ笑っていた。
「おー!後ろか、気がつかなかった。」
「早いね。」
「あー、なんか早く着きすぎたなって思ってた。」
「ふふ、でも俺も早く着きすぎた。」
「2人まだだよな。」
「うーんと、今メッセージ来てたけど、あと5分くらいらしいよ。」
「みんな早くね?」
思わず笑ってしまう。
自分もだが、みんなが集まるのが10分前は早すぎる。
「ふふ、俺すごく楽しみで、家早く出ちゃったんだよね。」
「まあ、俺もなんだけどな。幼馴染以外と出かけるのあんまないから、ちょっと嬉しくなっちゃったんだよな。」
「そうなんだ。」
平日の昼間ではあるが、先週末文化祭であった学校はほかにもあるようで、学生らしき人たちが多くいる。
「あ、駅ついたって。」
パッと見せられた画面には空夜からのメッセージで俊哉とホームで会ったので2人で向かっているというものだった。
「カフェの前にいるって送っておくね。」
京がそう言ってメッセージを送ってくれて、すぐに2人と合流できた。
*
~空夜side~
「誰から歌う?」
とりあえず、と採点を入れた昴流がデンモクを真ん中に置いた。
「じゃあ昴流から。」
「えっなんで。そこは空夜からって言うとこだったじゃん。」
「え?」
「え??」
俊哉がなぜか昴流を指名したことに昴流は首を傾げ、俊哉はそんな反応をされたことに首を傾げる。
「えー、まあいいや……じゃあ俺から入れるわ。」
ポン、と入った曲は昴流が好きなバンドの最新曲。
(京くんも好きなんだっけ。)
「時計回りなー。俺が歌ってる間に入れとけよ。」
昴流はそう言うと、マイクを手に音量などの調節を始めた。
「はい、空夜。」
京、俊哉と入れて空夜は最後。
(2人も同じバンドの曲入れてたなぁ。俺もそれにしよ。)
同じバンドの自分が歌える曲を選び、予約する。
既に始まっている昴流の歌に集中しようと顔を上げた。
(昴流上手いなぁ。)
歌いやすい音域なのか安定しているし、声の出し方も綺麗だ。
「うまいな。」
採点が出ている間に俊哉がそう言うと、昴流は少し照れた。
「わっ、点数高い。」
簡単な曲ではないのに、90点を超えている。
「はいはい、もういいから。ほら京、マイク。」
2本あったマイクは、席が隣の人と共有。
空夜は俊哉と使う。
「昴流照れてる。」
「だーっ、余計なこと言うな。もう始まるぞ!」
イントロが流れてきたことで、からかってやろうと思ったのにかわされてしまった。
京の歌声は合唱のときに聞いていたのとは違うが、やはり綺麗で、聞いていて心地いい。
次に歌った俊哉は力強い声で、安定した音が出ていた。
(みんな上手いなぁ。)
空夜は歌にはそこまで自信が無い。
自分の番が回ってきて、少し緊張した。
「空夜くん、なんかいつもと声違うね。」
歌い終わると京にそう言われた。
「えっ、ほんと?」
「うん。なんか雰囲気違う。でもすごくいい感じ。」
「そうだな。俺も空夜の歌声好きだ。」
「空夜の声って、普段は落ち着いてて低めな方だけど、歌声高めで可愛い系だよな。」
何度か一緒にカラオケに来たことがある昴流が言うのなら、きっとそうなのだろう。
いい感じだと褒められているので嬉しかった。
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