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地球は青くて綺麗です
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谷崎は自分からは何も喋らずに黙って運転している。
その横顔をちらりと見る。そういえば、会ってからこいつが笑ったところを見たことがない。
「谷崎、お前本当に番見つからなかったら地球滅亡させんの?」
「そのつもりだ。」
谷崎はこちらを見ずに即答する。
「日本でΩ見つからなかったらどうするつもりだったんだ?」
「世界各国に地球滅亡予告を出すしかないな。」
「そんなに、運命の番が欲しいのか?世界に向かって、日本人のお前がそんなこと言ったら下手すりゃ戦争だぞ。」
島一つ破壊した上に、地球を破壊させるようなことを宣言するのは立派なテロ行為である。今は日本国内で内密に取り扱ってることかもしれないけど、世界にバレたらとんでもない。一番責められるのは、谷崎の行動を野放しにしていた日本である。
「どうせ地球を滅亡させるんだから、日本が世界と戦争しようがしまいが俺には関係ない。運命の番がいない世界なんて俺には必要ないからな。」
「なんでそんなに運命の番が必要なんだ?」
「俺がαだからだ。」
「どっちかというとΩの俺のほうが、番が必要な気もするけど。」
自分がΩだと告げられてから、Ωやαに関する資料を読み漁ってみた。どっちかというとαがいないと発情期で苦しむことになるΩのほうが番が必要なんじゃないだろうか。
「お前は案外、Ωと告げられても動揺しないな。」
「だって地球滅亡と同じくらい全く実感がないからなー。周りにΩの奴もいないし、とっくにΩもαも滅びたと思っていたし。発情期もくる気配ないし。あっでも、俺今まで割と女の子に不自由したことなくて、男からもたまに告白されることあったんだけど、それ俺がΩなこと関係してる?」
今まで自分は同級生とかに比べてやけにモテるなと思っていたが、Ωだったからだろうか。
「さあな。」
「何だよその投げやりな返事。」
「もうすぐ着くぞ。」
「え?」
唐突に話を変えて谷崎が車の外をちらりと見る。
谷崎の目線を追うと、キラキラと光る水面が目に飛び込んできた。
「うぉっ。海だー。すっげぇ。」
海にくるのはめちゃくちゃ久しぶりだ。なんだか子供の頃に戻ったみたいだ。
「谷崎、海いつぶり?俺、小学生の時以来だ。」
「忘れた。」
はしゃぐ俺に反して相変わらず仏頂面で答える。
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