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生徒会長
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ろくに集会や行事に参加してない俺でも、コイツの噂は聞いてる。
一学年上にいる、開校始まって以来の天才堅物生徒会長。
全国模試で、総合10位以内キープとか頭の中が化物レベル。
確か、警察のお偉いさん家系で融通がきかないとかなんとか。
そんなヤツに撮られたとか、最悪じゃねぇかっ
これまでに、保健室と音楽準備室でヤッてるのをチクられ停学受けてんだぞっ
三回目に証拠まで撮られて現行犯とか、今度こそ退学だっ
母子家庭に君臨する女帝の母さんと、俺を下僕扱いする魔女の姉貴の報復がこえぇぇっ
高校卒業も出来ないとかなったら、ますます俺の存在が下落。
間違いなく、下半身しか働かない穀潰しには用無しだと家を叩き出されるっっ
生徒会とタッグを組んでる生徒指導の全面ゴリラ、海堂にもニタニタ笑いながらシメラレるのは間違いねぇ。
スマホを奪って口封じしかねぇよな。
図体はデカイが、勉強ばっかしてるヤツに負けるわけがねぇ。
腹を決めた俺は、背後で身なりを整えていた先輩に声を掛けた。
「あとは何とかするから、先輩は逃げて。
先輩のことはまともに撮れて無いだろうし」
「だ、大丈夫?
任せるねっ」
先輩は、俺と生徒会長の横を走り抜けていった。
これでも、女の子には優しくてやらしい隼人君で通ってる。
暴力に訴えてるところを見られるのも、巻き込むのも避けたい。
生徒会長は、俺の意図を察しているのか不明だが彼女を追おうとはしなかった。
所在なげにメガネの位置を指で何度も調整して、俺を無言で見下ろしてくる。
互いに動きを読もうとして、逆に自分からは動けない。
静まり返った体育館倉庫。
向かい合ったまま時間が過ぎ、予鈴が漏れ聴こえてくる。
あと五分で本鈴だ。
生徒会長なら授業を蹴ってまで追いかけてこないよな?
生徒会長の背後に回り込むと手を伸ばした、が、すでにそこにスマホは無かった。
どこに隠したんだ?
隠せるとしたら、夏用紺色スラックスのポケット。
指がその縁に触れた瞬間、手首を掴まれ視界が反転。
天井と生徒会長の覗き込んでくる顔で埋まった。
遅れて、背中や尻に痛みが走る。
⋯は?
一瞬の出来事に、頭が追いつかねぇ。
今までこんなにあっさり負けたことが無い。
小学生の頃から、母子家庭ネタでイジってきたバカを鉄拳制裁で黙らせて来たし、中学でも絡んで来たバカは全員返り討ちにしてきたんだ。
「⋯お前、何もんだよ」
「三國 聖(みくに ひじり)、生徒会長ですよ、2年1組成瀬 隼人(なるせ はやと)君」
淡々と真顔で俺の名前まで応える生徒会長。
底知れない雰囲気に圧倒され、コイツからスマホを奪うのはかなり至難の業だと頭が痛くなってきた。
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