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シャワーの水が弾ける音がする。
そう、俺たちは一緒に風呂に入っていた。
手を引き、脱衣所でスーツを脱がしていく。
注文の多い料理店のように、1枚、1枚、脱がしていった。
「時計、外すよ。」
喋れなくなって、頷くことしかできない可愛い甲斐くんは、真っ赤な顔をしていた。
ズボンと一緒に下着も脱がすと、紺色の靴下だけが残った。
「足、上げて。」
しゃがんで剥ぎ取っていく。
山猫が美味しく頂くために、シャワーを浴びるのだ。
・・・家のシャワーは、良い。
職場のシャワーは、無機質で落ち着かないのだ。
病院の消毒の匂いも、ずっと鼻の奥についている。
それが、ようやく自宅のシャワーを浴びることで忘れることができた。
狭い浴室だから、おとなふたりが入るといっぱいいっぱいだ。
甲斐くんの白い肩にお湯を掛けていく。
ワイシャツから飛び出した首筋は、健康的に焼けていて、それを見ただけで下半身に熱が集まっていく。
男臭くて、たまらなかった。
まだ若い体は、シャワーのお湯を弾いていく。
玉になって落ちていく水滴が、あまりに綺麗で、山野はうっとりと見つめた。
「童貞って言ってたけど、誰とも付き合ったことないの?」
「なぃ、です。」
筋肉のついた、すっきりとした背中。
肩甲骨のあたりが、美味しそうに見えた。
「なんで?」
肩を撫でるように洗う。
すべやかで、気持ちが良かった。
「怖い。」
「怖い?男が好きってバレるのが?」
シャンプーのボトルを側に近づけた。
甲斐くんの頷いた頭に、熱いシャワーを掛けていく。
「良かった、告白して。」
しっかりと汗を洗い流してから、シャンプーを泡立てた。
甲斐くんの柔らかな髪が、指先をくすぐっていく。
好きな相手の髪を洗えていることに、山野は喜びを感じていた。
まさか、こんなに触れ合うことが出来るなんて思いもよらなかったのだ。
夜勤から日勤をこなした体は、疲労で悲鳴を上げている。
でもそれを上回る幸せが、アドレナリンの放出をしているのか、さっぱり眠気はなかった。
再びお湯をかけて泡を流しながら、山野は甲斐の前に立った。
・・・ああ、可愛い。
濡れた前髪から、ジッと見つめてくれる。
思わず、抱きしめた。
好きだよ。
好きだ。
ずっと、甲斐くんのことが気になっていたんだ。
「・・・甲斐くん、可愛い。」
おずおずと、甲斐くんの手が背中に回された。
幸せが、心を満たしていく。
「ベッド行こうか。」
「んっ。」
肩を抱いたまま、脱衣所に戻った。
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