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遅刻ギリギリ
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「蛍汰!ほら、はやく!」
「はいはい、分かってるってば」
ぴょこぴょこと跳ね、蛍汰を急かす。
が、当の本人はニコニコと微笑みながらゆっくりと出てくる始末だ。
「遅刻すんだろーが!」
「だれのせいだと思ってるの」
「うっ...、それはその..」
「ふふっ。さ、早くいこ」
ふっ、と真顔から一変し楽しげな笑みを浮かべた蛍汰に、からかわれたのだと自覚する。
ムカムカと青筋が立ったが、今はそんなことより急いで学校へ行かないといけない。
こんなに慌てなくても大丈夫な時間に起きたのに、こんなに急がなくちゃいけなくなってしまったのは、頭が中々働いてくれなかった為に、たかがクロワッサン一個を食べるのに20分近くもかかってしまったせいだ。
...自分でも嫌になるくらい、俺は朝に弱い。
分かっていてもどうにも出来ないから、たちが悪いのだ。
八百一荘が学校から近くて本当によかった。
ニコニコと笑みを絶やさない蛍汰を急かして、俺たちは小走りで学校に向かった。
「じゃあね、優真。また後で」
「お、おう」
ギリギリセーフで間に合った俺たちは昇降口で別れを告げ、それぞれの教室へ向かう。
もしかしたら、遅刻寸前に来てよかったかもしれない。
周りに誰もいないから、有名な王子様と一緒にいても騒がれることもない。
「...って、はやく行かなきゃ」
モタモタしてたせいで、登校二日目でいきなり遅刻なんて絶対にいやだ。
まだ全然覚えていない校舎の中を、俺は猛ダッシュで走った。
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