アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
解けない悩み
-
それから暫くして、始業を合図するチャイムが流れた。
ガラガラと教室の扉が開けば、眠たそうに欠伸をしながら担任である飯沼先生が入ってくる。
「あー、挨拶は面倒だからいらんな。じゃあ教科書ひらけ」
ぼりぼりと頭を書きながら、彼は教科書を開き黒板に何かを書き始める。
それを見た生徒たちも、慌てて教科書とノートを開いた。
この人は何でこうもいい加減なんだろうと思いながら、かく言う俺もノートを開く。
それでも授業なんてまったく身に入ることもなく、考えることは朝からずっと一緒。
どうしても蛍汰のことが朝から離れてくれなかった。
(そういえば..、)
昨日は美琴さんも理人さんも多分帰ってきていなかった。
あの人たちも新入生歓迎会の準備でもやってたんだろうか?
....そんなに豪華なのか?たかが歓迎会なのに。
それとも、俺たちに気をつかって帰ってこなかったとか...。
もしそうなら、それはすごく不味い。
(美琴さんたち、今日は帰ってくるかな)
心ここに在らずで板書だけをひたすら写す俺に、また小さな悩みができたのだった。
そんなこんなで一限を終えた俺は、そんな調子で二限以降も淡々と終えていった。
あっという間に下校時間。
どんなに時間を浪費しても、蛍汰が昨日言ていた「考え事」が何かも分からないしどうやって蛍汰と接しればいいのかも分からない。
「はぁー...、帰りたくない」
「何いってんの?優真」
大きなため息をついた俺に、突如かかってきた声。
蛍汰かとビクッと肩を揺らせば、そこに居たのは巡だった。
「え、なに!?びっくりしたわ」
「何じゃねーよ!てかこっちが何、帰りたくないってやっぱり結城さんとなんかあったの?」
「ないない!何にもない!」
ブンブンと首と手を勢いよく振る俺に、巡はじと目を返してくる。
「まぁ、いいけど。それより優真、あの人が呼んでんぞ」
「え」
あの人。
そう言った巡が指差す方を見ると、そこには扉の端で手を振る理人さんがいた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
66 / 93