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『我が校の入学式を始めます。生徒諸君、席にお座り下さい。』
アナウンスがなった。
これから式が始まるんだ
これから僕は、この学校の人間になるんだ。
先ほどの嫌な緊張ではなく嬉しさが込み上げるような、ワクワクが混じった緊張。
順調に進んでいき、理事長の挨拶になった。
(あっ、鳳仙花のイヤーカフ…)
理事長の挨拶もそこそこに僕は左耳に光る淡いピンク色をしているイヤーカフに釘付けになる。
なんて綺麗なんだろう。
なんて堂々としていてかっこいいんだろう。
存在感が強すぎるイヤーカフは見ている者を魅力させる。
パンフを見たときでも奈茅の話を聞いてもそれほど興味はなかったのに、実物を見てみると心から欲しくなった。
周りの人達も僕と同じようなことを思っているのだろうか
────はっ、とする
気づけば新入生の名前を読み上げる所まで進んでいた。
(僕、そんなに夢中になっていたの…)
恥ずかしくなり、1人顔を赤くして俯いた
次々と名前を読み上げられて返事をする
もうすぐ奈茅の番だ。その次は僕。
ちゃんとしなきゃ、堂々と。
この学校に相応しい者だと証明するように。
気持ちを切り替えて集中する
『川野 奈茅』────「はい。」
(さすが奈茅。かっこよかったよ。)
奈茅と目を合わせる。
次は僕だ。一息ついて落ち着かせてから声を出す
『清水 灯』────「はいっ。」
僕の声が広くて豪華すぎる会場に響く。
実際はそんなに声は出せていないのだろう
手が震えている
(っ、こんなに緊張していたんだ…)
それでも僕は満足だ
未だに震える手を握りしめながら胸を張って前を向いた。
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