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内海さんが近づく気配して、僕は繋いでいた手を離した。その手で内海さんを止めるような素振りをする。
「どうした?」
(どうしたもなにもっ…なんでこんなに近いの)
近すぎる距離に僕のはやすぎる鼓動が聞かれそうで嫌だ。
「僕そろそろ帰らなきゃ。怒られちゃうから」
なんとかして美形から逃れたい。このままじゃ心臓が飛び出てきそう。
逞しすぎる体から逃れようとするけど僕の貧相な体じゃ無理そうだ。
諦めて〝退いてほしい〟と込めて目を合わせる。
「ここから出たら俺から離れるだろう。退かないぞ」
「な、なんで!?奈茅が鬼になっちゃうっ、」
可愛い奈茅に立派な角がはえていることを想像したら身震いするくらい恐ろしい!!
僕が青ざめてそう言うとまたムッとされた。
「そいつと付き合っているのか。」
「つ!?、付き合ってないけど…」
けど、友達以上だと思うからこういう場合はどう言えば正解なのだろうか…?
どんな言葉がいいか考えていると不機嫌そうな顔がまた近づく。
(こんな近距離に美形はしんどい……!)
「付き合ってないけど、友達以上な関係だと思います!」
不機嫌になっても美しすぎる顔になぜか恐怖心を覚えて敬語になっちゃった。
「友達以上な関係……だと?」
ドスの効いた低い声で僕を睨みつけた内海さんは何かを考えるようにブツブツと言い出す。
僕はこわすぎて放心状態で何を言っているのか耳に入らない。
「俺とも――に、なれ、」
「ひゃ、はひ……」
耳の奥を刺激するような声で何かを言われた気がしたけど何も聞こえなかった。とりあえず返事しなきゃ、と適当にしたのが悪かった。
僕の返事を聞いた内海さんは満足するように僕を抱きしめる。
「ありがとう、今日から俺の部屋に泊まっていけ。事情は俺から話すから」
まだ放心状態の僕はこくこくと首を縦に振る。
「いい子だ。」と僕の首にチクっと痛みを与えてから内海さんは携帯で誰かに連絡をし始めた。
何を言われたのも首元に痛みを覚えたのも僕は全然理解していなかった。
ただ内海さんがこわくて、でも今は満足そうで…
(内海さんが嬉しいなら僕はそれでいいや……)
ポヤポヤと頭が動かない。
耳の奥がキュンキュンする、ドクドクと心臓の音がはやい、魂が抜けたような僕を内海さんはただただ機嫌が良さそうに頭を撫でてくる。
チラッと見ると目が合って、恥ずかしくてふふっと笑う。なんだか幸せな時間だ。
「幸せだな。」
そう言って力強く僕を抱きしめてくれた。
内海さんも同じこと思ってくれてると嬉しくなって僕も抱きしめ返す。
(内海さんからしてくれたっ…)
えへへ、と笑っているとまた優しく撫でてくれた
────内海さんがどんなに恐ろしいことを考えてるのも、これから僕にどんなことが起こることも知らずに
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