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四章二話 流されて
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週に二回となった家庭教師に来た詩鶴に、春哉はあからさまに不満そうな顔を浮かべて唸った。
「詩鶴先生、どうしたら色仕掛け出来るかなぁ?」
「いっ、色仕掛け!?」
詩鶴は聞き間違いかと言いたげな目をした。
春哉はペンを動かしてはいるものの、ノートには全くインクが乗らない。色仕掛けをどう掛けるか本気で悩んでいるのだ。
勉強してますという振りをやめた春哉は、ペンを机の上に起き、詩鶴と向き合った。
「詩鶴先生は僕が影井さんの事好きなの知ってるでしょ?」
「まぁ。えっと、春君は自覚したんだ?」
「うんっ! でも、自覚しない方が幸せだったかも」
「どうして?」
「影井さんったら僕を子供扱いばっか。肌露出させたら汗かいたままだと風邪ひくとか言ってタオルとか渡してくるし。違うじゃん、そういう時はさ〜」
「あー。性的な目で見て欲しいのね?」
「その言い方ストレート過ぎるよっ! やっぱり僕の事、子供みたいにしか見えないのかな。
影井さん、子供がいるわけじゃないのになんで親目線なの〜?」
春哉の頬は膨れるばかりだ。今の関係でいる事に不満しかない。
だからといって、関係を壊す覚悟で思いを打ち明けるのはリスクが高い。
「それは仕方ないよ。私達が春君と出会った時、どう見ても小学生か中学生くらいにしか見えなかったし。
あなたに人間らしい生活を与えるのが第一目標だったからね。
私も影井さんも子育てしてる気分だったよ」
「はぁ……。やっぱり大人になってからの方がいい? ううん、柳瀬に二か月後に告白するって言ったしなぁ。でも後一ヶ月しか時間がない……。
詩鶴先生! 恋愛の勉強がしたいです!」
はい! と手を挙げて春哉は宣言した。これには詩鶴も困惑だ。これが男女間の恋愛で、指導する相手が女性であれば「任せて!」と言えるが。
春哉は男で、恋の相手も男だ。しかも落とすのが難しい影井。
影井は今まで夜の女から求愛を受けても、一度も落ちた事がないという事でも有名だ。
「んー。相手が影井さんっていうのが難しい所かなぁ」
「そうなの?」
「影井さんって決まった相手を作らないんだよ」
「なんでだろ」
「やっぱり自分の育った環境じゃないかな。凄く厳格な家だったみたいでね。学生時代グレてね、高校生の時に勘当されたの」
影井のそんな姿を想像出来ない春哉は、首を傾げて訝しんだ。
「あんな優しいのに?」
「皆、若い頃は色々あるものよ」
「そうなんだ」
「そう。元々優しい性格だからね。グレたって言っても、無理してたんだと思うよ。
本当は家族に構って欲しかったんだよね」
「それなのに勘当されて。影井さんが可哀想だよ!」
「もう家族は諦めてるの。だから新しい家族を作るのも、恋人を作るのも、望んでいないのよ」
詩鶴は苦笑しているが、その目はどこまでも暗い色をしていた。家族に苦い思い出があるのは詩鶴も同じだと言っているようだった。
「そうなんだ。悲しいね。やっぱり僕が影井さんを支えたいって思うよ。悲しみを癒してあげたい」
「もし影井さんの実家にコンタクトするなら……」
「それはしない」
春哉は詩鶴が言い終える前にきっぱりと断言した。
「影井さんを捨てた人達でしょ。もう近寄って欲しくない、僕の影井さんに……はっ、まだ僕のじゃなかった」
「ふふ。影井さんが大好きなのね?」
「うん。弱いところを見ると胸が締め付けられるように痛くなる。大事にしたい。守ってあげたい。こう思うのって、愛で合ってる?」
「そうだね。春君が愛だと思ったらそれが愛だよ。変に小細工しないで、春君らしくいこうよ。
一つ、私からの小細工をするなら……」
詩鶴は立ち上がると、春哉をベッドに連れて行き、押し倒した。
そして、春哉のシャツを捲りあげた。
白い肌が露わになる。腕や膝の辺りは日焼けで黒いが、腹部や胸部は白いままだ。
「あれ、前もこんな事あったような……」
「春君が疲れてた時ね。あの時は何もしてないでしょ」
「えっと、詩鶴先生って男だったっけ? 僕の身体使うの?」
「何アホな事言ってるの。セックスが男同士でやるものだと思ってる?
普通は子作りの為にするんだからね。保健の授業は補習が必要かな?」
「分かってるけど。僕にとってこういう事って男の人としかした事ない」
「じゃあ童貞だよね?」
「うん……」
「お姉さんが春君食べちゃおっかな」
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