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第20話
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一ノ瀬が大学に行ったことを確認すると白雪はずるずると床に座り込んだ。
実際は立っているのもつらいぐらいだった。
「あー・・・一歩も歩ける気がしない・・・・。」
白雪はため息をついた。
間違いなく自分は睡眠不足と疲労・・・あー、栄養失調?だろうなぁとまるで他人事のように笑った。
「途にかく何とかして病院に行かないと・・・彰人が帰ってきて倒れてなんかしたらー・・・。」
『捨てられる』
そんなの嫌だ。
ゆっくりとリビングの方に向かった。
財布と保険証持ってかないと・・・。
何とかリビングについてほっとしたのがいけなかったのだろう。
白雪は崩れ落ちた。
薄れる意識の中、無意識にスマホに手に取りよくかけていた電話を開いてそのまま意識を失ったのだった。
帰りは夕方になると白雪に伝えたが大学の教授の手伝いやサークルに顔を出していたらいつの間にか夜になってしまっていた。
白雪がきちんと病院に行ったか心配だったがもう寝てるだろうと思い連絡をしなかった。
家に帰ると部屋は電気が付いていなく寝室で寝ているのだろうと顔を見に行くとベットに白雪の姿はなかった。
「まだ病院から帰ってきてない?」
もしかすると体調が悪すぎて入院することになったのかもしれない。
いや、でも、もしそうだった場合 自分に連絡を入れるのでは?
考えれば考えるほど嫌な予感がよぎった。
急いでリビングを開け、電気をつけるとそこには息を荒くさせ苦しそうな白雪が倒れていた。
「朔夜!」
急いでタクシーを呼びタクシーが来るまでに準備をした。
タクシーが来たと連絡があったので白雪を抱き上げるとずっと握り絞めて居ていたのだろうスマホがゴトンと落ちた。
急いでそれを拾い移動しようとすると見てしまった。
白雪が倒れる前に連絡をしようと電話帳を開いてかける前に気を失ってしまったのが分かった。
そんなの当たり前だと思うだろう。
だが、その画面に出ていた名前に一ノ瀬はフリーズしてしまった。
『柊ちゃん』
記憶喪失の白雪がかける筈がないとたまたま開いたのが卯月だっただけだとそう自分に言い聞かせたがどうしても動くことが出来なかった。
どうして別れたはずの卯月の連絡先がまだ残ってるのかとか、いまだに連絡を取り合っているのかとか、聞きたいことはたくさんあった。
「・・・しゅ・・・・ちゃ・・・・。」
白雪の言葉に一ノ瀬はびくりと肩を飛び上がらせた。
「・・・とにかく病院」
そういい一ノ瀬は白雪を背負い下で待っているタクシーへと向かった。
病院に着きすぐに白雪を見てもらった。
「白雪くんは疲労だね。」
そういわれた。
「うーん、あとね。栄養失調かな。彼、ちゃんと食事取ってるかい?」
医者の言葉に一ノ瀬は驚いた。
疲労は最近悪夢を見ると言ことでなんとなくわかっていたことだ。
なのに栄養失調?食事は毎回食べてるはずだ。
朝も夜も一緒に食べている。
昼も作りすぎたと俺に寄こしてくる。
「今、白雪くん点滴うってもらってるからそれが終わったら帰って大丈夫だよ。」
その言葉に一ノ瀬は頭を下げ白雪のもとへと向かった。
白雪の顔色は朝見たときよりも悪かった。
「・・・・朔夜・・・。」
一ノ瀬の声は静かな病室に響き渡った。
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