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予想外
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夏樹を好きになったのはいつからだろうか。正確には分からない。気づいたら好きになっていた。でも好きだと気づいた瞬間は今でも覚えている。
「俺、、実は伊月のことが好きなんだ」
不安げな表情で告げられた事実に、驚いた。でもそれ以上に自分が泣きそうになっていた事に気づいてしまった。俺の恋は気づいた瞬間に終わった。
「隼人〜寝んなって!起きろよーゲームしようぜゲーム」
眠りかけだったのを起こされる。
「めんどくさい」
そう言って俺は再び眠りに入る。今日は夏樹の家に遊びに来ている。遊びに来てはいるものの特に何もせず、ダラダラしていたら眠っていたようだ。
「なんだよ、ケチ〜じゃあ俺も寝よ」
そう言って夏樹がベッドに入ってくる。
「はっ!?お前何してんだよ」
「いいじゃん別に!これ俺のベッドだぞ」
確かにそうだけど、この状態は心臓に悪い。顔が近い。たまに足があたる。自分の手の行き所を失った。
「分かった、じゃあ俺が出る」
耐えきれなくて、ベッドから出た。まだ心臓が鳴っている。聞こえていないだろうか。
「なあ」
そう言いながら夏樹が俺の手を掴んだ。
「ちょっとだけ、手繋いでいい?10秒でいいから」
なんだよそれ。何でそんな事言うんだよ。俺の気持ちも知らずに。
「‥‥‥‥‥」
俺は何の返事もしなかった。ただ手を振り払う事もしなかった。俺たちはしばらく手を繋いでいた。もう10秒以上経っただろうに。お互いに手を離さなかった。夏樹が何を考えているか分からない。
ガチャ
「よぉ〜!お前ら」
そんな陽気な声と共に扉が開いた。それに反応して俺たちは同時に手を離した。扉を開けたのは伊月さんだった。
「遊びに来てやったぜ!お菓子もあるぞ」
最悪だ。俺と夏樹と伊月さんが揃ったって誰も良いことがない。苦しいだけだ。
「どうしたんですか、伊月さん。急に家に来たりして」
俺がそう言うと、明るかった伊月さんの顔は泣きそうな顔になった。
「聞いてくれるか〜!!!ううぅぅ〜!!」
何がなんだか分からなくてあわあわしていると
「なんかあったのか?」
夏樹が心配そうに言った。
「実はなぁ、春香と喧嘩して」
まじかよ。よりによってその相談内容は、、夏樹の顔を見ると複雑そうな顔をしている。
「そ、そうなんだ。何で喧嘩したんだよ」
あくまで平然を装うとしている事が伝わってくる。
「いやそれがな、実は今日春香の誕生日でサプライズしようと思ってさ、デート中に愛を叫んだんだ」
「は?」
意味が分からなくて咄嗟に声が出てしまっていた。
「デート中に薔薇の花束を持ってきて、好きだ!!!誕生日おめでとう!!!って言ったんだよ!その時は受け取ってくれたんだけど、後で恥ずかしいからやめてくれって言わたんだ、酷くね?」
え?えーと、とりあえず整理しよう。
「伊月さん、それどこでやったんですか」
「街中だけど、ああ!もちろん跪いてやったぜ!」
何がもちろんなんだよ。
「もしかして大声で言ってないよな、、?」
夏樹が、呆れた顔で聞く。
「ん?大声だけど、やっぱ愛は叫ばなくちゃな」
「怒るに決まってんだろ!!」
俺と夏樹が同時に言う。普段敬語の俺も荒々しい口調になる。頭が痛い。何考えてんだこいつ、しかも自分の非に気づいてないだと?夏樹、この馬鹿のどこがいいんだ。
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