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王の不在7
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そう思ったレクシリアが、さてどうするかと思案を始めたところで、再び部屋の扉が開いた。そして、レクシリアによく似た顔立ちの美しい女性が中に入って来る。
「聞きましたよ、お兄様! グレイと二人で良いところを持っていこうなんてズルいです! 私もご一緒致しますわ!」
「マルクーディオ!?」
思わず彼女の名を叫んだのは、ジルグ団長である。突然団長室に入室してきたのは、団長の奥方にして宰相の妹であるマルクーディオ・グラ・レーガンだったのだ。
騎士団の砦にはいささか相応しくない綺麗なドレスを身に纏った妹の登場に、レクシリアは額を押さえる。
「マリーお前、どっからそれ聞いた……」
「あら、グレイが丁寧に教えてくれましたよ?」
「……そう言えばお前ら、やたらと仲良かったな……」
盛大な溜息を吐いたレクシリアの横で、ジルグがやや困った顔をしてマルクーディオの手を握る。
「馬鹿なことを言うなマルクーディオ。貴女を戦場に出す訳にはいかない。危険な場所なんだぞ?」
「それくらい判っています。けれど、人手が不足しているのでしょう? なら、使えるものはなんだってお使いなさい。私はこれでもロンター家で魔法や武術を磨いて来ましたし、嫁いでからもこっそり訓練していたんですから。そんじょそこらの騎士団員さんたちには負けません」
こっそりそんなことをしていたなんて聞いていない、と思ったジルグだったが、今はそんなことを言っている場合ではない。
「マルクーディオ、だが、」
「お兄様とグレイだけでは不安だというジルグの気持ちは判ります。お兄様は他の方への負担を減らそうと意地を張っていますけど、事実、二人だけでは何かあったときに対処しきれないでしょう。ですから、私が行くのです。私と、……そうね、ここの砦の団員さんを少しだけお借りできるかしら? さすがに私一人では荷が重いわ」
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