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アグルム・ブランツェ7
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褐色の肌に、暗い金色の髪。赤の王と比べれば厚みの薄い胸板に加え、身長までもが控えめだ。あの特徴的な金の瞳すらも、まるで面影がない。
目だけで周囲を見渡した後、やや困惑した様子の男が口を開きかけたが、それを遮るようにして薄紅の王が男の名を呼んだ。
「アグルム・ブランツェ」
その音に、男が過剰なほどに肩を震わせて反応を示す。そんな彼に向かってにっこりと微笑んだ薄紅の王は、一枚の紙を取り出してひらひらと振った。
「リィンスタット王からの書簡は確かに受け取ったわ。それにしても、どうしても妾に直接届けたいからって、こんな夜中に貴方も大変ねぇ。ご苦労さま」
「……クラリオ、王、陛下の……?」
「そうよぉ。彼の命令でこの国までやってきたのでしょう? ほらほら、もうお役目は果たしたんだから、さっさとお帰りなさいな。貴方みたいなつまらない顔は、いつまでも見ていたいものじゃあないわ。それに、貴方が乗って来た騎獣も、王宮の入り口で待ちくたびれている頃よ」
薄紅の王の声に、男の困惑した表情が徐々に落ち着いていく。そして男――アグルムは、その場に膝をついて、深々と頭を垂れた。
「このような深夜にも関わらずご対応頂きましたこと、深く感謝申し上げます」
「別に礼は良いわ。だからさっさと帰ってちょうだい。妾、早く寝たいの」
つん、とした態度で言われ、アグルムは更に深く頭を下げたあと、王と王獣に向かって退室の言葉を述べてから、静かに部屋を出て行った。
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