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終局7
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「まーつまり、その国の王が神性魔法を使わなきゃ対処できないような敵をぶつけられた、ってことなんだよなぁ。あんたの国にゃあロンター宰相みてぇな特殊事例がいるからなんとかなったけど、これ他の国で同じことされたら最悪だぜ? 特に、始まりの四大国以外が狙われたらほとんどアウトみてぇなもんだ。…………いや、つーか、よく隣の金が狙われなかったな。水神を金に寄越されてたら、確実に大ダメージを受けた筈だ。それでも赤を狙ったってことは……」
そこで言葉を切った黄の王が、赤の王を見る。
「……やっぱ向こうの狙いは、一貫してあんただな」
恐らく、帝国側はレクシリアが極限魔法を使えることを知らなかった。だからこそ、水神を赤の国に仕向けたのだ。王の不在を補うだけの力を持つ王獣も、神性魔法だけは使えない。故に、レクシリアの極限魔法がなければ、あの状況で国を守れるのは赤の王しかいなかった。そして国王ならば、たとえどこに身を潜めていたとしても、自国を守るために必ず現れるだろう。
そう。赤の国への襲撃は、赤の王をおびき寄せるためのものだったと考えるのが自然なのだ。
「……ってことは、あんまり良い状況じゃあねぇなぁ」
そう言った黄の王が、顔を顰めて深い息を吐き出す。そして赤の王を真っ直ぐ見据えた彼は、口を開いた。
「この状況で病み上がりのあんたに言うのは酷だが、言っとく。ウロって奴は、俺たちの世界を創った神と同等の生き物だ。そんでもって、天秤の説は正しかった。銀のじーさんが過去視で手に入れた情報だから、間違いない」
淡々とした声に、赤の王が僅かに目を細めた。だが、それだけである。
「……驚かねーんだな」
「……敵が人間の力が及ばない相手である、と判明した時点で、ある程度想定はしていた。だが、あまりに絶望的な想定だったからな。願望も含めて、まずないと思っていた」
静かな声に、黄の王が表情を更に険しくした。
「あんたをおびき寄せるためにあれだけのことをしたってことは、逆に言えば向こうはあんたが何処にいるか判らなかったってことだ。ウロにその能力がないのか天秤の問題なのかは知らねーけど、ランファ殿の魔法は確かにあんたの存在を覆い隠してた。でも、今はそれがない。デイガーも死んだ。……十中八九、あんたがここに居ることはバレてる。そんでもって、きっと向こうはもうあんたを見失わないぞ。あれだけのことをしてまであんたを探してたんだ。俺だったら、見失うようなヘマは絶対にしない」
それを聞いた少年の顔が、見る見るうちに青褪める。
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