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再会
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暑い暑い、高校生最後の夏は、愛の涙で終わった。まだ蒸し暑いが、木の葉の色が赤く変わり始めても、結局俺の言葉を鵜呑みにした愛が、今もなお、勉強に打ち込んでいる。愛曰く「恋禁」だとかなんとかで、朝は一緒に登校して、昼は一緒にメシを食う、帰りはバラバラで、夜、寝る前にラインを一回。そしたらお互いベランダにでて、ちょっと、ほんとちょっとだけ、10分ぐらいだけ話をして、バチッと視線があったら、吸い込まれるようにキスをする。ベランダから身を乗り出すのは俺の役目。
猿なんじゃねぇの、ってぐらい、毎日のように重ねていた身体も、春以来ご無沙汰のセックスレス、ま、そりゃ仕方ないんだけど、愛も性欲に現をぬかしてる場合じゃねぇし。
俺も、…こんなだし。
少しだけ、助かるかもしれない、なんて思ってる。俺ほんっと最低。そんで、多分愛に俺の気持ち、そのうちバレちゃう。
あの夏の、愛の涙と本音を知ってから、さらに強く俺が愛の傍にいなきゃだめだ、と思うようになった。
でもそれと同時に、この関係に名前を付けられずにいた。友達、ではないだろ、ただの友達ならもっと楽な関係のはずだ。それこそ、庄司くんと大輝みたいな、あんななんでも軽口を叩けるような。
でも、俺と愛はお互い少し、遠慮がちに互いを尊重しようとする。それって、ちょっと恋人のすることに似てる。すき、とすき、を言いあった、思いが通じた!よしじゃあハッピーエンド!…ってのは、少し違う気がする。
そもそも、すき、つったけど。愛の隣は俺のもんだ!ぐらいには思ってたけど。でもそれが恋かと聞かれたらちょっと上手く答えられない。
いや、愛のことはすき。唇、みてたら、なんっか、むらむらしてきてさ、あーキスしてぇって思うし。すげーめちゃくちゃに抱いてほしいと思うこともあるし、ついでにいうと可愛い愛ちゃんのこと、優しく抱いてやりたいとも思う。
た、だ、
それは性欲の話であって、エッチなことしてーから恋なのかっていわれたらなんか違うし、でも愛の傍にいなきゃなんないし、愛は愛で欲情してくるし、正直あんな可愛い小鳥さんのチューみたいなキスじゃ足りないし!!あーーだから!そのさーーーもう無理!いろいろ考えすぎてパンクしそーだ!!せっかくこんな秋晴れの日に屋上でタバコキメて、ソイラテなんか飲みながらぼーっと一人タイムを楽しんでるってのに!だめだな、一人になると。余計なこと、考えちゃってさ。一人の屋上。そういえば愛とここに来たことはあまりない。俺は愛にタバコ吸ってるとこあんまり見られたくねぇし、つーかそれ以前にあの王子様のズボンが、この屋上の小汚いコンクリートの粉とか埃で汚れてたらクラスの女どもに半殺しにされる気がする。そんなことどーでもいいんだけど!いや、よくない?よくなくない?よくなくなくなくなくない?なんて?よくわかんなくなってきた!!あーーーまじ、むずかしーな、人のことってのはさぁ!!!
安い百円ライターで、タバコに火をつけてゆっくり吸い込む。緑色のタバコの箱を眺めながらぼんやり、なんで愛の前でタバコ吸いたくないと思ってるのか、とか、考えてみるけど、答えでねーし。
「は〜〜〜〜〜〜〜〜!!鳥になりて〜〜〜!!!」
ぐいーっと伸びをしながら俺が叫ぶものだから、口に加えていたタバコがぽろりと胡座をかいていた、俺のズボンの上に落ちた。
あっつ!!!!!!慌ててタバコを拾いあげると、すこし、ズボンに焦げ。
ったく、俺!なにやってんのーー!!もう!!!
飛び散ったタバコの灰をはらう。
誰にも見られてなくてよかったーーー!!!
と、思っていたのに。
「お前またため息?幸せ逃げますよ〜っと。俺がキャッチしといたんだけどお隣いい?」
「あ?あーー!!!受験終わってもなお何もしない人!!!」
「失礼だな!?なんだそれまたあのチビの入れ知恵!?」
思って、いたのに、なんであんたがここにいる!?
宮崎大輝。
この人を最後にみたのはおそらく卒業式で、その時よりもなんか、なーんか、ビミョーにまた、背伸びてね?
庄司くんと同じ学年の人のはずだ。卒業生だ。本来もうこんなとこにいるのはおかしい。なんで並愛の屋上なんかに、いんの?
シンプルなくせになーんかかっこ良く見えちゃうような私服、ズボンのポケットに手をかけていた大輝はニカッと笑って
「久しぶりだな!」
と言った。
いやまて、久しぶりだけど、えー。
並愛の屋上は扉をもっと重くするべきだ。人が入ってきても気づかねぇから恥ずかしいとこ、見られたかも!!
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