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事実2
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気持ちの悪いくらいスムーズに終わった三校時目のあと、僕は席を立ってクラス掲示板の方へと向かいました。
席を立った瞬間、クラスにいたほぼ全員がビクっとしましたが、そんなことにいちいち構っている暇はありません。
掲示板の今月の行事欄を見ると、土日を挟んだ来週の水曜日に全校集会と書かれていました。
今日は木曜日。
あと、土日を合わせて六日で全てが終わる。
フゥ、と小さくため息をもらしながら、僕は自席に戻りました。
「ねーねー、黒ちん。」
呼ばれた方へ顔を向けると、紫原君は机に頭を乗せながらこちらを見ていました。
「今までの経緯、教えてくんない?」
そういえば、先程も結局教えていなかったのだと思い出します。
「そうですね。意外と長くはない話ですし。ええっと……」
伝えようと今までのことを振り返ると、本当に長くはなかった。
惟葉さんが自分のしたことを認め、次の全校集会で学校の人に誤解伝えるということ。
黄瀬君と仲直りしたこと。
そのついでに、緑間君も真相(に近いこと)を知ったということ。
「……思ったよりいー方向に向かってんだね〜。」
少し驚き気味の紫原君が、いつもより目を開いて呟きました。
「そう言えば確かにそうですね。」
──……でも。
「僕、惟葉さんに真実を喋って欲しいんです。彼女にも彼女の葛藤があった筈ですから。しかし、そのためには、あと今日を含めた四日間青峰君と赤司君をどうにかしなければなりません。」
惟葉さんの雰囲気が変わったことに気づけば、必ずあの二人は、特に赤司君は何かをしてくる筈。
「問題は、それをどうやって切り抜けるかってこと?」
紫原君の言葉に頷きながら、頭ではそう簡単にはいかないだろうと思いました。
──とにかく、あと四日間なんとかしなければ……
いや、でも。
大丈夫かもしれません。だって僕には、もう仲間がいるのですから──
……ダダ……ダ……
そう思ったところでふと気づく。
この間読んでいた小説に、こんな場面があった気がする、と。
……ダダ、ダダ…
確かそれの名前は……
〝フラグ〟
「……紫原君、」
先程からだんだんと大きくなる足音。全速力で走るようなそれ。
もしかして、もしかして。
冷や汗がたらりと流れます。
「…僕、フラグ折っちゃったかもしれません。」
僕がそう言い切るのと、ものすごい勢いでドアが開けられるのはほぼ同時でした。
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