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金曜日
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「………む…….」
寝返りをうち、布団のやわらかさがいつもと違うことで僕はうっすらと目を覚ましました。
──えー…と……ここはどこでしたっけ…
まだ完全に覚めていない頭で昨日のことを振り返り、今の状況を確認しようとしました。
──……学校行って、あかしくんと青みねくんとケンカして……あ、そうだ、花宮さんのおうちに泊まらせてもらっているんでしたっけ…
むくっと上半身だけ起こし、しばらくグラグラしたあと僕は前のめりに倒れました。
「……っ、いたた………」
さほど体が柔らかいというわけでもないので長座体前屈のような体制はかなり痛く、そのせいで目が覚めました。
ふっと横を見ると、隣のベッドで高尾君がぐっすり寝ています。それがあまりにも気持ちよさそうだったので、彼は放っておくことにしました。
持ってきていたバッグから歯磨きとタオルを出し、色んなところにぶつかりながら昨日確認した洗面所へ歩いていきます。
歯磨きをし、顔を洗い完全に目を覚まします。素晴らしいほどの寝癖はいつものことなので、今は放っておくことにしました。
そう、あまりゆっくりはできません。なぜなら今日は平日だから。
休日ならゆっくり十時頃まで眠りますが、今日は学校がある上にいつもより学校から遠いのです。
まあそれでもそんなに急ぐこともないだろうと時計を見れば、時刻は七時少し前。
「本当に急がなくても大丈夫そうですね…」
そう呟きながらも制服に着替え、少しずつ重力に負けてきた寝癖を水で綺麗に直し、乾かします。
時刻は七時過ぎ。
そろそろ高尾君を起こそうとベッドに戻り、何の躊躇もなく高尾君の布団を引っペがしました。
「……うぇい……さっむ…!」
「朝です。そろそろ起きてください。」
いつもよりハリのない反応にそう返すと、「ここはどこ…私は誰…てかなんでテっちゃん…?」と寝ぼけながらもむくっと起き制服に着替えだす高尾君。
その姿をきちんと確認し、僕は隣の紫原君の部屋に行きました。
コンコンコン。
「失礼します。紫原君、起きてますか?」
ガチャ。
ゆっくりとベッドに近づくと、まず見えたのはベッドから飛び出た二本の足。
──寝てますね。しかもベッドの長さが足りていません…
さらに近づくと、何故か上半身だけベッドから落ちているのを発見し、戻すのも無理そうなので下半身も落として起こすことにしました。
「お、重いですね……っと」
ドスッ。
やっとの思いでベッドから落とすと、紫原君は顔をしかめながら目を薄く開きました。
「………黒ちん〜……?」
「おはようございます。」
数拍おいて「…ん〜…」と答えた紫原君。そのままにしておくと明らかに眠りそうだったので、手の届かないところまで布団を引っぱり、とっておきの一言を。
「このまま寝るのと美味しすぎるお菓子を食べるの、どっちがいいですか?」
そう言いながらポケットから僕が出したのは…
HARIBO。しかもお得パック。
「お菓子〜!」
HARIBOを見た瞬間覚醒したように立ち上がる紫原君。そのままHARIBOをチラつかせながら洗面所へ行き、顔を洗わせます。
「顔洗った〜。HARIBOは?」
「制服に着替え終わったらあげます。」
そう言うと、黙々と制服に着替える紫原君。ちゃんと着替え終わったので、きちんとHARIBOを渡しました。
「…美味しい…」
「朝ごはんもあるんですから、全部食べないでくださいね。」
それだけ伝え、僕は自分の部屋へ戻ろうとドアの方へ歩きだしました。
すると、まるで測ったようにドアが開き、きっちりと制服を着た花宮さんが入ってきました。
「朝食、こっちで用意したんだけど、食べる?」
笑顔。
ポトリ、とHARIBOを落とす音が後ろから聞こえました。振り向くと、紫原君の顔面が崩壊しています。
「紫原君、気を確かに持ってください。」
確かに笑顔の花宮さんは怖い。いやむしろ気持ち悪い。
──でも、花宮さんにも花宮さんの事情があるのでしょう。
そう思い、「では、お言葉に甘えていただきます。」と答えます。無表情になってしまうのは仕方がありません。
「じゃあ、支度が終わったら下に降りてきてね。用意はできてるから。」
そう言い終わりドアが閉められた途端、紫原君の「…ないわ〜。」というつぶやきが聞こえました。
「ここは花宮さんの家なんですから、花宮さんの事情があるんですよ。さ、僕たちも下に行きましょう。」
少し鳥肌のたった腕を隠しつつ、僕たちは下に向かいました。
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