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金曜日3
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教室に入ると、聞こえていた話し声がぴたりと止み、またか、と僕はため息をつきました。
気にしないと思っても、気になるもの気になります。
しかし、ここで僕がどう動こうと事態が悪化するだけだということはよく分かるので、特に何も出来ずに僕は席につきました。
今日は金曜日。
土日を挟んで月曜、火曜が終われば、そうすれば。
──全てが終わる。
もちろん、全てが元通りというわけにはいかないでしょう。
それでも、悪夢は終わる。
だからきっとこれは、それまでの辛抱なのでしょう。
そう思い、僕は机の上に顔を伏せました。
意外にも何事も無いまま授業が終わり、昼休みになりました。
僕と紫原君は人のいない方へいない方へ歩き、校舎裏のベンチに座りました。
「あ〜、お腹すいた〜。」
「と言いつつもずっと何か食べてましたよね。」
他愛のない会話をしながらもくもくと食べ続ける僕たち。ここは移動が大変だからと人が来ることもなく、気を抜けるとてもいい場所でした。
「ご馳走様でした。」
「ごちそ〜さま〜。」
地味に食べるのが早いので、予鈴までまだ二十分ほど時間が残り、僕たちはすぐに暇になりました。
「……暇だね〜」
「そうですね…」
「ねえ黒ちん。さっき伊東さんにもらったリモコンのスイッチ…」
「押しません。」
「………」
「………」
「…暇、だね。」
「……そうですね…」
そのままぼーっとし続け予鈴が鳴るのを待ち、鳴れば鳴ったで面倒くさいと呟きながら教室へ戻りました。
その後も紫原君は爆睡、僕は目を開いたまま寝たりとなんとか授業を終わり、僕たちは逃げるように裏門へ急ぎました。
帰りの時間は一番赤司君たちに遭遇しすく、遭遇したらただでは済まないことは必須。できるだけ人目を避けながら僕たちは裏門へ向かいました。
朝、あれだけ居心地の悪かった花宮さんの豪邸が懐かしく思えました。
「お待ちしておりました。」
裏の玄関から出ると、すぐ近くにリムジンと伊東さんがいて、僕は安心のあまり息をこぼしました。
「どうぞ、お乗りください。」
開けてくれたドアから入り、間もなく車が発進するのがわかりました。朝のようにお菓子を食べながら、もう高尾君は帰っているのでしょうか、とか、花宮さんのお父さんとお母さんには会えないのでしょうか、などとをなんとなく考えながら時間を潰しました。
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