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奇跡の軌跡
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次の日。
久しぶりの紫原君との徒歩登校に嬉しく思いながら登校しました。
しかし、学校へ行くと、すれ違う生徒全員に謝られることになり、早々に貧血で倒れました。
「黒ちんだいじょ〜ぶ〜?」
「な、なんとか……」
紫原君に担がれながら教室へ入ると、クラスメイトにも恐がられながら謝られ、僕は早くも挫けそうになっていました。
「ほ、本当にごめん!」
「いえ、いいんですよ。」
「私たちも、わ、悪口とか、色々……ごめんなさい!!」
「…大丈夫ですよ。」
「お、お、俺…青峰とか緑間の悪口とか言って…な、殴られても仕方なかったと思う……ごめんなさい許してくださいぃ!!」
「……気に、しないでください。」
一通り謝られたあと更に全員で土下座までされ、僕にとってかなり辛い試練は終わりました。
「黒ちんお疲れ〜」
「……ハイ……」
そのまま授業が始まり、何がどうなったのか僕がいるので特別に午前授業だけで終わりました。
「黒子、今日はお前が登校できたから午前だけで授業は終わりだ!」
──おかしいですよ……
そう思いながら帰りの支度をしていると、ガラ、と教室のドアが開いて赤司君が入ってきました。
「テツヤ、今からちょっといいか?……謝りたいんだ。ついて来てくれ。」
もしかしたら赤司君が午前授業にさせたのかなと思いつつ赤司についていくと、体育館に連れていかれました。
そこには、キセキの五人と惟葉さんが揃って僕を待っていました。
「黒子っち!」
「黒ちん。」
「テツ。」
「黒子。」
「テツヤ。」
「黒子君。」
「「「「「「ごめん!/っス!!/なさい!」」」」」」
深く頭を下げる六人。
まさかここまでやられるとは思ってもいなかったので呆然としていると、代表として赤司君が最初に口を開きました。
「テツヤ、君の発言を無視して僕らは君を裏切ってしまった。暴力、暴言、多くの酷いことをした。……僕らが間違っていた。すまない!」
「赤司君……」
「すぐに信じなくってごめんなさいっス!恋人なのに、一番に味方にならなくてごめんなさいっス!」
「俺も〜」
「黄瀬君、紫原君…」
「最初から信じようとしなかった。裏切られたんだって思い込んで、沢山殴った。傷つけた。俺はお前の光だったのに……本当にすまねぇ…!」
「青峰君……」
「努力してきたお前をきちんと見なかった。考えもせずに否定した。俺の失態なのだよ。それなのに、お前は俺を庇って怪我をした。本当にすまない。」
「緑間君……」
「私の勝手な都合で黒子君を嵌めた。苦しめた。貴方は何も悪くないのに、悪者にしてしまった。全部私が悪いの。本当に、本当にごめんなさい。」
「惟葉さん……」
心がぽかぽかして、鼻がツンと痛みました。その後すぐに涙が出てきて、僕は両手で急いで涙を拭きました。
この間は赤司君に奇跡とか何とか行っていましたが、本当のところ、僕も奇跡に挫折してばかりでした。
何が正解かわからなくて。
何を信じればいいのかわからなくて。
手探りで暗闇を歩き回っているような、そんな怖さが、ずっとありました。
ずっと君たちに守ってもらっていたから、自分の守り方なんて分かるはずもなくて。
だから、我ながら随分と間違いを犯してしまいました。
簡単ではなくて。
簡単なわけがなくて。
振り返れば、複雑に曲がりくねった道がそこにある。
それでも、今、僕はここにいる。
この奇跡に巡り会えた。
僕の道は、
僕か選んできた道は、
間違いじゃあなかった。
「……嬉しいです。また皆さんと一緒にいれると思うと。嬉しいです。また皆さんと笑い合えると思うと。嬉しすぎて……本当に、嬉しいです。」
言葉が上手くまとまらなくて、同じことを二回言ってしまうくらい嬉しい。
そのことが伝わったのか、笑い返してくれる皆さん。黄瀬君と惟葉さんに至っては僕より大泣きしていそうです。
「じゃあ、じゃあ!また一緒にバスケするっス!」
黄瀬君の一言によりその会話に花が咲きました。
「ふん、人事を尽くしていないとすぐにレギュラーを取られるのだよ。」
「テツなら平気だろ、多分。」
「黒ちんが倒れたら運んであげるよ〜。」
「病み上がりだからといって加減するわけにはいかないからな。テツヤ、しっかりついてこい。」
──懐かしい。
本当に、懐かしい。
でも………いや、だから。
「すいません。
僕、バスケは出来ません。」
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