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トリプルデート3
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「ふーん、内装はまあまあだな。けど、お化け役の演技がマジでクソ。カス。てかお化け屋敷のくせにキレイすぎんだろ。ホコリ一つねえんだけど?スタッフちゃんとしろよ。マジクソ。」
スタッフのことをけなしまくる花宮さん。
「ええか?ここや。ここに客が来たら出るんやで。左手はぶらぶら揺らしながら、重心を斜めにして近寄るんや。右手は客の方に伸ばすか振り回したら余計怖くなるで。口は開けといた方がええな。……おお、そんな感じや。ええ感じに怖く見えるで。」
「はい!ありがとうございます!!」
スタッフに何やら詳しくアドバイスする今吉さん。スタッフの方も最初は怯えていましたが、今は尊敬の眼差しで今吉さんを見ています。
「音楽がありふれすぎている。お化け屋敷は多種多様なのだから、BGMくらい自分たちで独自のものを作るべきだ。お化け役たちに対しても同じ事が言える。衣装がベタすぎる。制作費を浮かせすぎだ。」
またもや批評をつけている赤司君。しかも先程より細かく多いです。
「うえ、暗くてお菓子食べれない……あ、いけた。んま~。」
お菓子を貪り続ける紫原君。
「ぎゃぁぁああああ!!!!お、お化け!貞子っぽいのとかもいるっスよ!黒子っちぃ、絶対に手離さないでくださ……ってひぃぃぃぃいいいいいいい!!!!誰っスか!?落武者!?!?」
この中では最も正常ですが、少々うるさすぎる黄瀬君。
またもやカオス。
しかし今回は、僕もそのカオスに仲間入りしてしまいました。
「…………」
お化け役の方たちが誰一人として僕に気づいて驚かしてくれないのです。
気づいたとしても、何故か逆に怯えられる始末。
僕に驚いてお化け役の人が黄瀬君の方に逃げ、それにより黄瀬君の叫び声が響きわたるという二次災害も起きました。
──というか、僕の手でなく落武者の手を握っているのが不思議ですよ……
お化け屋敷を出たとき、僕と黄瀬君以外の人たちの顔は心なしか少しつやつやしていて、僕たち二人はかなりげっそりしていました。
「お化け屋敷ももう嫌です……」
「俺も、っス……」
僕たちの呟きを完全に無視して次のアトラクションに歩き出す四人を見て、一緒に遊園地に行ったら死ぬと思いました。
その後、ジェットコースター、回転する船、逆さまのジェットコースターを回った後、僕と黄瀬君が耐えられなくなり、別々に行動することになりました。
「静かな乗り物にしましょうか、黄瀬君。」
「…っス、ね。」
そうして観覧車に乗ることになり、二十分ほど並んでようやく僕たちの番になりました。
僕の隣に座る黄瀬君は、景色が綺麗だとか床が透明ガラスだととても嬉しそうにはしゃいでいます。
「見て見て黒子っち!前も後ろもカップルっスよ!」
「僕たちもそうじゃないですか。」
そう言うと少し照れる黄瀬君にくすりと笑い、距離を詰めました。
「ちょ、黒子っち……!」
「なんですか?」
「ち、……近い、っス…。」
ゴクリ、と唾を飲み込み真っ赤になりながら顔を背ける黄瀬君。いつもしているファンの女の子たちとの対応とは全く違う反応に、ぞわり、と何かを掻き立てられました。
体と体をくっつくほど近づけ、下から黄瀬君の顔を覗き込みます。真っ赤になりながらも目を合わせてくる黄瀬君が、とても愛しい。
「黄瀬君。」
「何、スか?」
「キス、しません?」
「え、…っん…」
承諾されるより前に唇を合わせ、離れないように両腕を黄瀬君の首に絡めます。
「……はぁっ、…」
「ちょ、黒子っ……んぅ、」
何度もキスをしていると、段々と本気になってきたのか、黄瀬君の目から理性のようなものが消え、余裕のないような顔になりました。
そして僕は、とす、と優しく押し倒されました。
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