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./あとがき。
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.
白いカーテンを挟んでしばしお互いを見合う。
「…なんでここにいる?というかなんでお前は顔しか出さないんだ?」
「…あー…それはだな…」
カーテンの合わせから日に焼けた顔だけを出してるヤツの様子がなんか…
ちょっと違和感。
いつもなら俺を見るなり犬の如くまとわりついて来るのに。
そう思いながら…さっきの千影センセイの言葉を思い出す。
確か…。
「…お前、朝練の時ぶっ倒れた、のか?」
「え!あー…まあ…」
「なんでさっきから“あー”だとか“まあ…”だとか!」
中途半端な返事が癇に障り座っていたベッドから降りてヤツに近付く。
「え!ちょっ…!」
真ん前に立ちヤツの慌て顔の両脇のカーテンを掴んで…
「キャーッ!」
「キャーッ??」
シャッ!
勢いよく両サイドに開いた。
する…と??
「なん…」
「しょーがねーだろ!」
「なんでお前はいつも全裸なんだよ!」
そこに立っていた杉谷はいつもの如く、見慣れた全裸の姿だった。
しかもいつもの感じでまさかの仁王立ち。
「……。」
「あーだからなー…簡単に言うとだな…」
苦笑いを浮かべるヤツはいつもより少しばかり恥じらってる風。
さすがの杉谷もこんな時間からの全裸は恥ずかしいのか?
…とか思いつつ言葉の続きを待つ。
「夕べ全然眠れなくて…そのまま朝練出てー…ランニング終わった辺りから記憶がなくてな。」
「…眠れなかった?」
「…ああ。そんで気が付いたら全裸でベッドに転がされてたんだよ。」
「……。」
腕組みをしながら首を傾げる全裸男。
そのなんとも間抜けな姿に思わず笑ってしまい…。
「…こってり笑ってくれ。」
苦い苦い顔をするヤツは諦めたようにそう言って溜め息をついた。
散々笑って笑い疲れた俺はヤツを見たまま数歩下がりさっきまで横になっていたベッドに腰かける。
するとヤツはそんな俺の真横に座り…。
「笑い終わったところで…浜野。」
「…ん?」
「昨日の返事を聞かせてもらおうか。」
…と。
こんな流れからの無茶振りをしてよこした。
「…この流れでか。」
「散々笑ったんだからそのくらいいいだろ?」
口の端を上げるヤツを見上げて…溜め息。
…返事もなにも。
「あまりに急すぎて全く考えられなかった。」
「ああ…そうだろうな。」
「お前があんなコトするから…考えようにも…それ以外、なにも考えられなくて…」
しどろもどろ。
考えるというところにも至らなかった。
だって夕べの俺は…。
「お前が…あんな…」
「…エロいこと?」
「っ…」
答えに詰まる。
「俺がしたエロいことを思い出して…一晩いたのか?」
「ひ、一晩とか、ない…」
一瞬だ!
そう言いそうになってしまいゴクンとその言葉を飲み込む。
そんなこと言ったら…コイツのことだから。
「一晩はなくても一瞬でも想って…自分でヌいちゃった、とか?」
ふふんと笑って俺を見てくる。
その様が…ムカつくのに半分は本当なもので…
答えられずに俺はグッと口を噤んだ。
「…そうか。」
小さく呟くように言ってから杉谷は短く息を吐き、俯き加減から視線だけをこっちに向けて。
「お前が…樋口のコト考えないで一晩いてくれてればいいや。」
「え…」
言われて気付く。
そう言えば…
あんなに大泣きしたのに…夕べは俺、一度もセンセイのこと思い出さなかった。
「…俺が…センセイのこと思い出さないように…あんなコト、したのか?」
問うた言葉にヤツは真顔を向けて。
「いや全然。」
「え!」
見直しかけたところで肩透かしをくらう。
「泣いてるお前が可愛くて理性がブッ飛んだ。」
「…ケモノだな。」
「でも冷静になって…自分がしたこと言ったことを思い出したら…緊張して眠れなくてな。」
「緊張?」
聞き返す俺にヤツが苦笑いをよこす。
「お前に嫌われたら…どうしようって…」
「はぁっ!?」
意外過ぎる発言に声が裏返る。
「なにお前、あんな、俺がNOって言っても諦めないとか言ってたじゃないか!」
「それはハッタリだって。あと、自分に言い聞かせて…ってとこだ。」
「なんだよそれ…」
「だから…」
ガシッ!
両腕がヤツのデカい手に押さえられる。
ビクリとしながらも…いつにないヤツの真剣な顔に知らずに背筋が伸びた。
「好きだ。」
「…すぎや…?」
「お前が、好きだよ…」
みつめてくる黒い切れ長の瞳が揺れる。
それに呼応するみたいに…自然に俺の瞼が閉じて。
唇に、柔らかな感触が重なった。
軽く触れて、離れて…
もう一度、今度は少し長めに重なる。
「…好きだ…」
開いた視界一杯にヤツの…
初めてみるような柔らかな笑みがあって。
俺は…。
「お前の好きと…俺の好きが一緒かはわからない…」
「ああ。」
「…でも…」
「でも、俺のこと、好きだろ?」
さっきまでの自信なさげな杉谷はどこへやら。
この流れのどこで復活したんだか俺の極側で笑むヤツはいつものふてぶてしい様子で笑って。
「どんな好きでもいいよ。お前が俺を“好き”って思ってくれてるならそれで十分だ。」
なんとも健気なセリフをはいてまたキスをしてきた。
「…すぎや…」
名を呼べば…
ヤツは嬉しそうに笑って唇を重ねてくる。
そんなことを何度か繰り返しながら…
自然に伸ばした腕を絡めあい俺達はお互いの体を抱き締めあった。
-END-
2022.4.27.
――――――――
あとがきです。
一組完結の短編連載?二話目です^^
今回は一話目に登場した浜野クンの恋の始まりです♪
堅物の浜野クンにはトーベルマン(?)な彼氏ができました(*´艸`)
これってもしかして割と王道なカップルなのでしょうかね?
書いていて結構楽しかったです♪
終わった恋を治してくれるのは新しい恋で、なにより愛してもらうのが一番の特効薬ではないかと思います(*^_^*)
たくさん泣いた浜野クンはこれから幸せになって欲しいですね^^
ちなみにお相手の杉谷クンはメインの方にも顔出ししてもらう予定です♪
ゲストというかなんというか…脇役でも可愛い我が子ですので♪
そして意外とこういう盲目な攻が大好きです♪(病)
楽しんでいただけたら幸いです♪
2022.4.30.えりな拝.
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