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第八章
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という経緯(いきさつ)でドレスを着る羽目になった迅鵺は、響弥にメイク道具まで一式揃えられていて、諦めて大人しくメイクをされると結果クオリティーの高い女装になった。
ふと悠叶に見られなくて良かったと、心底思った迅鵺であった。
なんだかんだと立派に仕事をこなして、今日の営業も無事終わり最後のお客を見送った迅鵺は更衣室まで移動すると、直ぐ様ドレスを脱ぎ着てきた服に着替える。
「迅鵺、お前その顔のまま帰んのか?」
背後から、クスクスと笑い混じりで声を掛けられて振り返ると響弥が立っていて、迅鵺は慌てて更衣室の鏡に映る自分の顔を見ると、ばっちり化粧が施されている。
「げっ──・・そうだった。普段化粧なんてしねぇから忘れてた・・つかメイク落としなんて持ってねぇんすけど。」
響弥が持ってるだろうと視線を響弥に移すと、思ってもみない言葉が飛んで来る。
「わりぃ。化粧させることしか頭に無くて買うの忘れたわ。」
「はあっ!?マジ冗談きついっす。」
つい、大声を上げてしまう迅鵺だったが、流石に響弥も鬼ではない。
「後で買ってきてやるから、ちょっと待ってろ。」
響弥の言葉にホッと胸を撫で下ろす迅鵺は、話があった事を思い出す。
「あの、響弥さん。話があるんすけど・・」
「ああ、じゃあ適当にどっか座って待ってろ。」
響弥のお客が酔っ払ってトイレに隠っているようで、響弥も困っている様子だ。
イベントの時は、こういうお客が出やすい。
響弥は、大きな溜め息をひとつ溢すと更衣室を出ていった。
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