アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
第十章
-
*****
─────翌日、時刻は夕方六時前。
TOP SECRETの店内は、ホスト達の手によってピカピカに掃除されていて、みんな満足そうに達成感を味わってるところだ。
「みんな、お疲れっ!お陰でオープン当初みたいに綺麗になった。後は来年の正月イベントだが、三日に詳細をLINEで知らせるから、何かやりたいのあったら、いつでも意見くれ。」
代表が、みんな疲れてヘトヘトになっているところに、張りのある声をあげたが次の代表の言葉で、みんな一気に元気になる。
「ちょっと早いが、俺からみんなにお年玉を用意した。一人ずつ名前呼ぶから受け取ったら、そのまま帰っていいぞ。」
次々と呼ばれたホスト達は、代表からポチ袋を受け取っていって、その度に代表は“お疲れ”と“良いお年を”という言葉を伝えている。
ついに迅鵺の名前が呼ばれて、代表の元へ行くとポチ袋を受け取った。
「迅鵺、お前はみんなが認めるうちのNO.1だ。胸張れよ。一年間お疲れ。来年も期待してるぞっ!」
代表の言葉で、この一年間の事が脳裏に浮かぶ。NO.1であることを改めて噛みしめながら、迅鵺は頭を下げた。
「あざっす!一年間、世話になりました。来年も頑張りますっ!良いお年を」
そう言って、足を進めた迅鵺を代表は呼び止める。
「迅鵺、お前には話があるから残ってくれ。」
代表の言葉に、なんの話があるのか検討がつかない迅鵺は首を傾げるも、直ぐに終わる話だろうと思い、店内のソファーに腰掛けて代表が来るのを待った。
「────待たせたな。」
お年玉を全員に渡し終えた代表は、響弥を連れて迅鵺の元へ来ると、直ぐにお店を出ると言われて代表に着いていく。
どうやら、響弥もよく分かっていないらしい。
行き先も言われないまま着いていくと、代表の車が停めてある駐車場に入り、車に乗るよう促された迅鵺と響弥は、後部座席に座った。
「あの、どこに行くんすか?」
悠叶との約束が気になった迅鵺は、運転席に乗った代表に訊ねると、どうやら時間が掛かる用事なようだ。
「ああ、ちょっと大事な話しがあるからよ、落ち着ける料理屋に予約入れてあるんだ。」
大事な話しと聞いた迅鵺と響弥は目を合わせて、どんな話しなのか様々な予想をしてみるけれど、やはり何も思い付かない。
迅鵺は、一先ず悠叶にLINEを送った。
“大掃除は終わったんすけど、急用が入ったんで終わったらまた連絡します。”
シンプルな短い文を作成すると、送信する。
昨日送ったLINEには、既読は付いているけれど悠叶からの返事は無かった。
数日、迅鵺が悠叶のLINEに返事をしなかったせいで拗ねているのかもしれないと、迅鵺はあまり深くは考えてはいなかったけれど、今送ったLINEにも、直ぐに既読は付いたのに返事は無くて、迅鵺は少しイラッとする。
無視すんなよな・・まあ、俺が返事しなかったんだけどよ・・・
揺れる後部座席で窓の外をぼんやりと眺めながら、迅鵺はそんな事を考えていた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
105 / 140