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第十章
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「と、迅鵺さんがなんて言おうと、絶対に離れませんからっ!!迅鵺さんが言ってくれたんですよ!?もう独りにしないって!きょ、響弥さんの事が好きになっちゃったんだとしても、俺は気にしませんからっ!だから、俺を見捨てないでっ───・・」
悠叶は、ぐしゃぐしゃに顔を歪ませて泣きながら一気に捲し立てた。
言い終えて、更にボロボロと涙を溢す悠叶は、ちゃぶ台の上に置いてあるティッシュ箱から数枚を雑に取ると、鼻に当てて思いっきり鼻をかむ。
そのせいで悠叶の眼鏡は雲ってしまい、なんとも滑稽だ。
そんな様子の悠叶に、迅鵺は驚いてあんぐりと口を開けている。
「────俺、ひっぐ・・たまたま撮影してたら・・み、見ちゃったんです・・ひっぐ・・響弥さんが迅鵺さんにキスしてるとこ・・ 」
悠叶は、泣きじゃくりながら途絶え途絶えに言うけれど、迅鵺は“は?”といった様子で、なんの事を言っているのか分かっていない。
響弥にキスをされたといえば、悠叶が事故に遭っていた事を、まだ知らなかった時だ。
悠叶に見られる訳がない。
だけど、キスをされている事には変わりはなく、なんとなく後ろめたい気持ちになる迅鵺。
そんな迅鵺の表情を見て、悠叶は更に涙を流した。
「や、やっぱり響弥さんと付き合うんだっ!この前ファミレスの前でキスしてたし、LINEも無視されてたし、そんな気がしてたんですっ!」
“ファミレスの前”
迅鵺は、ハッと思い出した。昨日、響弥とファミリーレストランで食事をした後、頬にキスをされた事を。
あ~・・あれを見てたのか・・・
迅鵺は、事実を話そうと思わず溜め息を吐く。
「────悠叶さん、それ誤解です。」
そう言って、ちゃぶ台に手を着くと悠叶の首に手を回して自分に引き寄せた。
次の瞬間、悠叶の唇と迅鵺の唇が触れる。
「────俺、悠叶さんに絆されちゃいました。」
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