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最終章
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いつの間にか後ろからすっぽりと抱き締められている迅鵺。
こんな風に誰かに抱き締められるなんて、今までにない事だからか、照れくさくてなんとなく体育座りなんてして、体を固くさせてしまう。
「────チュッ・・」
そんな様子の迅鵺に、クスッと柔らかく微笑んで迅鵺の頬にキスをした。
迅鵺は、この体勢が恥ずかしいせいなのか、既に顔を赤くしていたが、今のキスでもっと赤くさせたのを見て、悠叶は思わず迅鵺の顔を後ろへ向けさせると今度は唇にキスをする。
そのまま、迅鵺の口内へ舌を滑り込ませて、絡み合う水音が鳴り響く。
「───んっ、ふっ・・はあっ・・だ、から・・ダメだって・・」
迅鵺は、角度を変える時や舌を動かす時の隙に、なんとか言葉にする。
悠叶に解放された迅鵺の表情は、キスされただけでも蕩けそうだった。
「迅鵺さん・・そんなエッチな顔で言われても、説得力ないですよ・・」
今はしないと言っておいて、迅鵺の表情に滾るものを感じた悠叶は、どうしたものかと少し後ろめたい気持ちになる。
そんな悠叶に気付いたのか、真っ赤な顔のままキッと悠叶を睨むと悠叶の頭上目掛けてチョップをかます。
「だからっ!ダメって言ってんでしょ!」
悠叶はしゅんと眉を下げて、情けなく“はい”と返事をすると、再び迅鵺を後ろから抱き締めた。
「あのっ・・俺からも質問してもいいですか?」
「この体勢じゃなきゃダメなんすか?」
「・・・ダメですっ」
悠叶の質問に対し、全くもって関係ない質問返しをされるが、そこはしっかりと断る悠叶。
「───あの時、どういう意味で言ったんですか?」
悠叶は、クリスマスの時に迅鵺がケーキや食事、シャンパン等を買ってアパートまで来た時の事を話した。
寝ている迅鵺にキスをしてしまった悠叶に、迅鵺が言った言葉が気になっていたようだった。
「俺、なんか言いましたっけ?」
けれど、迅鵺本人はよく覚えていないようで、悠叶は少し気を落としたみたいだが、具体的に出来事を話す。
「俺、あの時が初めてしたキスだったと思うんですけど・・迅鵺さん、何を今更って・・・」
そこまで聞いて思い出した迅鵺は、ギクリと体を固まらせた。
腕の中に居る迅鵺の体が硬直したのに気付いた悠叶は、不思議に思い“迅鵺さん?”と口にしながら迅鵺の顔を覗き込む。
「─────っ!?み、見んなっ・・」
まさか、夢の中で毎日キスをされていただなんて恥ずかしくて言えないようで、眉を思いっきり下げて顔を赤らめている迅鵺の姿は、なんとも可愛らしく悠叶の瞳に映り込んだ。
「な、なんで、そんな可愛い顔してるんですか?」
つい悠叶までドキドキしてしまい、悠叶の腕の中から逃れようとした迅鵺を咄嗟に両腕で抱き止めてしまった。
「────痛っ・・」
まだ治っていない右腕を使ってしまい顔をしかめる悠叶に、慌てて迅鵺は振り返って悠叶の姿を確認する。
「だ、大丈夫っすか!?」
「大丈夫です・・それより、ちゃんと教えて下さいよ。」
心配してくれる迅鵺に、痛い思いをしたのもラッキーかも、だなんて思いながら、甘えるような声で言う悠叶に、迅鵺はおずおずと悠叶の目を見詰める。
「そんな風に聞くとか、随分と狡いことするんすね・・・」
迅鵺の言葉に“あはは”と惚けたように振る舞う悠叶に諦めたのか、体の力を抜くと視線を反らしながら悠叶が入院していた時に見ていた夢の事を話した。
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